これ、読む前に受けた印象って、皆さんどうなんでしょうか。
これは今年2024年1月に出た本です。
全く読んで無い状態で、どんなイメージを持ってましたでしょうか? 皆さん。
ぼくはシャーロック・ホームズ的な探偵が京都にいて、まあ、そういうストーリーが展開するのかな、きっと推理小説じゃないだろうから、森見さんらしい変な世界が描かれるのかと。
たぶん、ぼくは森見登美彦さんの作品は「夜は短し歩けよ乙女」と「熱帯」の二つと、そしてよく覚えてないのですけども京都を舞台にした短編集しか読んでいません。
でも「熱帯」の印象が強烈で、あれはとても好きな作品なんですが、もしかするとその延長上にあるのかもしれないな、これ。なんて予感も持ってました。
この作品、舞台は京都なんですけども、登場人物などは全くシャーロック・ホームズのあの世界のままなんです。
ホームズの下宿は、ベイカー街では無くて、寺町通221 B なんです。大家さんはハドソン夫人。
で、ホームズの相棒のワトソンは、以前はこの寺町通221B に同居していましたが、メアリーと結婚して下鴨本通に診療所兼自宅を構えています。
「あの女」アイリーン・アドラーも、モリアーティ教授も、レストレード警部も登場します。なお、京都警視庁という漢字の読み仮名はスコットランド・ヤードとなっています。
ただ場所だけがロンドンじゃ無くて京都なんです。
ヴィクトリア朝京都。
変でしょ。変なんです、この話。
そして、ホームズは大スランプに陥っているのです。
予感通り、ぼくは途中から「熱帯」を思い出しました。
で、正直言うと、それまでなかなかノレませんでした。
だって、そこに出てくるホームズは、ぼくらの知っているあのホームズとは違う人みたいなんですもん。
スランプのホームズって、読んだことないでしょ。
これね、読んでいる最中に他の人の感想を読んでみたくなりました。ここんとこ一気読み(と言っても老人なので昔ほど早くはなく、一気という言葉通りでもないのですけども)を取り戻していたのですけど、これちょっと時間かかりました。
運よく、森見登美彦さんが婦人公論で、今年2月初めにこの作品に関して語っているのをネットで見つけたので、それを小説を読んでいる途中で読みました。
森見さんご本人も、スランプだったらしく、あれこれ困っている自分をホームズとワトソンに投影したとか言ってます。
「熱帯」や「夜行」も含めて、表現しにくい不思議なものを一生懸命表現しようとしてきたけど、それはもう行きつくところまで行ったと感じているんです。
今作で自分の内面は限界まで突き詰めたので、今後はもう少しエンターテインメントらしい方向に切り替えていきたいと思ってます。
と最後に語られてました。
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ところで、これも面白かったですよ。