「熔果」は「ようか」と読みます。
「熔」は金属を溶かす(熔かす)ということです。「果」は? 結果とか?
持ってる辞書を引いても、ネットで調べても、熟語としては載ってませんでした。
ま、この作品、白昼堂々起こった100キロ5億円の金塊強奪事件で強奪され消えた金塊を追う話なんです。金塊だけに熔かしてしまえますね。
この表紙の赤い花の色が気になって借りてきたのです。
2021年11月20日に発行されてます。
テレビドラマにもなり映画にもなっている「疫病神シリーズ」の新しいのが出てないかなと図書館の書架の黒川博行の場所を探して、そのシリーズの新しいのは見つけられませんでした。後でネットで調べたら、ぼくは全部読んでしまってます。
これは、大阪府警今里署の暴力団対策係の刑事だった堀内信也と伊達誠一の二人の元刑事が、ヒラヤマ総業という不動産関係の会社に拾われて、競売物件等で起こる暴力団関係者とのトラブルを解決する仕事をしているという設定のシリーズです。
この二人が警察を辞めた理由は、ヤクザとの癒着、情報漏洩、あるいは愛人のヒモに刺されたりという事件の結果なんです。ま、ヤクザや半グレをどつき回すのが得意な二人です。
イケイケヤクザの桑原と、建設コンサルタントの二宮、テレビでは北村一輝と濱田岳が演じてたコンビをヤメ刑のおっさんコンビに置き換えた設定ですね。こっちの元刑事コンビの方が戦闘能力がより高いですけど。
あ、どうでもいいことですが、ぼくは最後まで「ヒラヤマ総業」を「ヒマラヤ総業」と読み間違えてました。
終わり近くでヒラヤマなんだと気がつきました。元は平山組だったんです。元をたぐればヤクザです。
この話、ひょんなことから以前起こった金塊強奪事件に繋がり、そんならその金塊を俺たちで捜してもらってしまおうぜということになります。大阪、四国、九州、名古屋と舞台は変わり、相手にするヤクザや半グレも変わります。
こういう話は、説明することが多いのです。
でもね、不思議にものすごく読みやすくて、ページを広げるとスルスルと頭の中に入ってくるんです。でもって、最初から最後までずっと面白い。
ぼくね、黒川博行さんの警官が主人公の作品は好きじゃ無いんです。なんとなく陰気というか暗いもんで。
しかし、この元刑事コンビのは、とにかく面白い。
やはり「疫病神シリーズ」で変わったんです、なんて言うと直木賞をもらった時の審査員のコメントみたいになっちゃいますけど、本当にそうだと思います。
なんで読みやすいんだろう?
なんで最初から最後まで面白いんだろう?
この二つの疑問の答えを探しに、もう一度、今から読んでみようと思ってます。
ま、おそらく説明部分を読み飛ばしやすくしてあるような気がするのと、独特の関西弁の漫才のような会話文のせいなのだろうと思っているんですけど。
ぼくがピカレスクという言葉を初めて知ったのは、阿佐田哲也(色川武大)の「麻雀放浪記」でですが、黒川博行さんは阿佐田哲也(色川武大)さんを尊敬し、「麻雀放浪記」のファンなので、書く小説のほとんどがピカレスクなんですねえ。
もう年寄りになったから小説を一気読みなんてできなくなったと嘆いておりましたが、久しぶりに一気読みしちゃったです。借りてきた次の日に読み終えたので、返却期日までに何回か読み返すことができます。
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