70代の真実

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「ノース・ガンソン・ストリートの虐殺」途中から一気読み

ミズーリー州ってどこにあるか分かります?

ぼくは、分かりませんでした。

この「ノース・ガンソン・ストリートの虐殺」の舞台になっているのです。ちょうど季節は冬で、ものすごく寒くて雪が降るし、冬用タイヤはいていてもスリップして横滑りして行くので、随分北にあるのかなと思ったのです。

でも調べてみたら真ん中辺でした。カンサスシティがある州です。セントルイスもあるし。

 

ついでに聞きますが、アリゾナ州の場所は想像できますか?

これはぼくも知ってました。

砂漠とかのイメージあるし、暖かい、あるいは暑いところなんでしょね。

主人公のべディンガーは、最初アリゾナの警察で刑事をしてたのです。

そして、ちょっとしたトラブルでその警察署に居られなくなり、あわや免職というところ、ミズーリー州の田舎町ヴィクトリーの警察署で警官の募集があり、そこに飛ばされました。50歳なんですよ。

寒いところらしいです。ミズーリーでトイレを流すとその街にたどり着くなんて言われているほどひどい場所です。拉致、殺人、強姦の発生率は驚くほど高いらしいです。

それでもべディンガーには、他に選択肢がありません。奥さんと子供二人を養わなければなりません。

そしてべディンガーは、とても黒い黒人です。寒いのはすごく苦手なんです。

 

さて、地理の話はいいとして、この小説の話をしましょう。

あ、本書はワーナー・ブラザースが映画化権を得ていて、レオナルド・デカプリオが出演とプロデューサーを務め、主役のべディンガー刑事をジェイミー・フォックスが演じる予定だと、2016年8月の日付のあるあとがきに書いてありました。

話のあらまし ネタバレ無し

トラブルで、べディンガー刑事が赴任したミズーリー州ヴィクトリーというのはクソみたいな街でした。

犯罪発生率が極めて高いのですが、小都市のくせに人口に対する警察官の割合が足りていません。警官のモラルも模範的ではありません。

警察署長はズウォリンスキー警視です。怪物ボクサー。

十分に服従しない部下をリングに上げて、文字通り叩き直します。誰も逆らいません。

 

べディンガー刑事は、ズウォリンスキー署長から相棒をあてがわれます。大男のドミニク・ウィリアムズです。

ドミニクは、どうも何かのしくじりで降格されたような感じなのですが、何があったのかは語りませn。

べディンガーは、警察署の中でちょっと孤立した立ち位置です。

 

なぜかしら鳩がたくさん死んでいるクソみたいな街を、溶け合うことのない大男の相棒ドミニク、そしてドミニクの仲間たちと反目しながら、べディンガー刑事は山ほどある犯罪案件に優先順位をつけて順に取り組んでいきます。

ちなみにべディンガーは、けっこう知的な刑事なんです。

 

 

さあ、このヴィクトリーの街で、警官が襲撃を受け殺されます。

特定の警官が狙われるのでは無くて、署の警官全員がターゲットです。

マシンガンや手榴弾、プロの殺し屋たちが次々と警官を襲い残虐の限りを尽くします。

殺した警官からは、男性警官の場合はバッヂとペニス、女性警官の場合はバッヂと卵巣を切りとります。殺戮の依頼者に証拠品として殺し屋が持参すると、数に応じて報酬が支払われるのです。

全国から殺し屋たちが、この小さな田舎町にやってきています。

 

誰が、こんな依頼を殺し屋たちにしたのか、そして、それはなぜなのか。

べディンガーは調べます。どうやら相棒のドミニク・ウィリアムズと彼の仲間たちが何か関係しているようです。しかし、べディンガーは仲間はずれです。一人でこの謎を解いていこうとあがきます。

しかし、魔の手はべディンガーに対しても・・・

 

バイオレンス小説ってやつですね。謎を解くのは話を展開していくための方便に過ぎず、本筋は暴力と殺戮。

べディンガーは知性派で、単純な暴力を好みませんが、否応なく暴力に巻き込まれていきます。

水と油のようなべディンガーとドミニクも、やがて真相に近づくにつれ協力関係を築き、ドミニクの前の相棒と共にこの暴力の核心に向かっていくのです。

 

怪物のようなズウォリンスキー署長も、なかなかすごくて面白いのです。

 

 

ニタリとしながら

この本は2016年9月に発行されました(翻訳本の話ですよ)。その時点で映画化の話が「あとがき」に書かれていて、現在のところ映画の話は耳に入らないので、もしかすると映画にはならないのかもしれませんが、絶対に映画にすると面白いだろうと思います。

 

主人公のべディンガーは身長が6フィートにあと2インチといったところだと書かれているので、182センチー5センチ=177センチほどでしょうか。

髪の生え際は後退し、目は眠たそうで、肌は光を吸い込みそうな黒さだそうです。

50歳って書いてありました。

全体、あまり勇ましい感じではないです。でも、知性があるんです。

そういう人物が、犯罪だらけのとんでもないクソの田舎町で自分らしくやろうとします。

彼の目で、怪物署長、ヤクザ警官の大男の相棒等を見るのを読むのも面白いです。

何より、こんなクソ状況で、ベディンガーは自分を曲げません。自分のやり方で事件に対峙するのです。

 

後半、バイオレンスアクションとなっていきます。

それでも主人公は、ベディンガーなのです。

 

サスペンスとかミステリーではありませんけど、ただの暴力小説ではありません。

アメリカって、こういう話、うまいですねえ。