ハヤカワのポケットミステリーを初めて読んだのは、たぶん中学生の頃だったと思います。
友人がイワン・フレミングの007シリーズの何冊かを貸してくれたのです。
上下二段組で、独特の黄色っぽい紙を使い、あの表紙、あのサイズ、なんかアメリカのペーパーバックみたいでカッコいいと思いました。
友達同士の貸し借りで、007だけじゃなくて、いろんな作品をポケットミステリーで読んだのです。
本屋の棚にあるポケミスの中で、手を出さなかったのは競馬シリーズとマクベインの87分署シリーズでした。まあ、他にもたくさんありますけど、意識的に避けたのはこの二つ。
なぜ手を出さなかったのか、競馬シリーズは競馬自体をよく知らなかったからですが、87分署シリーズは、なんか警察小説ってのが地味な感じがして手をつけませんでした。
この映画は、とても有名な映画でした。調べたらぼくが10歳くらいの時の作品です。
映画自体は観た事がなかったのですが、この作品の原作が87分署シリーズの「キングの身代金」だということは、どこかに書いてあるのを読んで知ってました。
まあ、映画も観てないし、原作も読んで無いのだから、原作が何だとかという情報も意味がないのですけどね。
先日観た「野良犬」がとても面白かったので、黒澤作品の現代劇(と言っても、ずいぶん昔ですけど)の警察ドラマであるこの作品も観てみたいと思いました。
観てないくせに、誘拐の身代金の受け渡しに、ほんの少しだけ開ける列車の洗面所の窓から身代金を投げるってのは知ってたんですよ。
それと身代金を入れたカバンに仕込んだ薬品のおかげで、焼くと赤い煙が出て、モノクロ映画なのに、その煙にだけ赤い色をつけたってことも知ってました。
有名な監督の有名な作品で、これがすごく面白いってのは、今更いう必要もありませんから、中身についてあれやこれやとコメントするのは辞めておきます。
ただ、警察官たちのチームワークが、観てて本当に面白いのです。
小説にしろ映画にしろ、ストーリーだけでは面白さって難しいなと思うんです。
その他の面白さの要素が無いと、かなり奇抜な話を思いついてもダメですね。
じゃあ、その面白さって、どこにあるの? ということを、今回一連のクロサワ作品を観ていて勉強になりました。
黒澤監督って、その面白さの要素をよく知っていて、それはいろんなバリエーションがあるんだけど、その面白さの要素をそれぞれの作品の中に上手に埋め込んでいるんです。
さあ、この「天国と地獄」に仕込んである面白さの要素って何なのだろう。
そんなことを映画を観終わってから、つらつら考えています。
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