70代の真実

70代年金生活者の生活と思ってること、その他思がけないことも

他人事では無いかも。老いの孤独。

家内が、ちょっと離れたショッピングモールに行きたいと言います。

なんか催し物でもあるのか、よくわかりませんが、それなら天気も良いし今日行こうということに。

そのモールには無印良品も入っていて、ぼくはルーズリーフの用紙をセットできるリフィルノートのB5版のやつを買いたかったのです。

 

モールに着くと、それぞれ自分の行きたい売り場に行き、30分後に決めた場所のベンチで落ちあい、その後は食品売り場へ行きました。今日は魚介類が安いのだそうです。

パン屋も目に入ったので、一旦スーパーから出て、ぼくだけパン屋に入りました。

小さくて甘いクロワッサンの売り場で、爺さんが大きな声で女の人と話をしていました。

知り合いなんだろうなと思ってましたが、よく見ると赤の他人。

 

欲しいパンをトレイに乗せて、列になっているレジに行くと、ぼくの前にさっきの爺さん。小さなクロワッサンが10個入った500円の袋を一つだけ持ってます。

レジは二つあって、その爺さんの相手をしたのは50代のメガネかけた女性でした。

「540円です」

500円の袋に消費税が40円という事ですね。

「540円?」

爺さんは確かめ、レジの係のおばさんは「そうです」と返事。

「40円」

「はい」

爺さんがポケットから出したのは、プラスチックの四角いケース。中は仕切られていて、小銭が金種ごとに分けられてて、それぞれの区切りごとに蓋がついてます。もしかするとピルケース?

爺さんは、10円玉を4つ取り出して払いました。

「あと500円です」

レジの係の人は、メガネをかけているせいなのでしょうか、それともその時の精神状態のせいでしょうか、目が怖かったです。

「500円」

爺さんは確認をします。レジは一向に進みません。

これからも時間がかかりそうです。

仕方ないなと思ったその時、別のおばちゃんがさっと来て、ぼくのトレイを取って、お勘定をしてくれました。

ぼくがお金を払い終わっても、その爺さんの勘定は終わってません。

 

こんなこと言うのはナンですが、その爺さん臭い。垢の匂いがします。たぶんホームレスでは無いと思うのですが、一人暮らしで風呂はあまり入らないのでしょう。

おそらく一人暮らしが寂しいと、買い物に来て、客や店員となんやかやと話すのが好きなんじゃ無いかな。

 

ぼくは、買ったパンを無印良品の手提げ紙袋に放り込んで、食品売り場のレジに並んでいた家内のところに戻りました。

普段来ない店で、レジは無人の自動レジ。

一番最初にレジ袋が要るかと質問がきたので、家内は要るというボタンを押します。

そしたらレジ袋のバーコードを読み取らせてくれというメッセージ。

レジ袋、どこにあるかわからない。

面倒なので、買った牛乳のバーコードを読ませたら、エラーで止まってしまいました。

近くにいた、丸くて柔らかい感じのおばちゃんがすぐに来てくれて、レジ袋を出してそのコードを読み込まさせてエラー回避で、精算の続きができました。

 

その時、さっきのパン屋にいた爺さんが、その店員のところにやってきて、なんか言いました。

ぼくは爺さんの言っていることがよくわかりませんでした。

喋り方が聞き取りにくいんです。

 

しかし、そのおばちゃんは、素晴らしいのです。

「はい、わかりました」と言って、制服のポケットからセロテープを出し、ちょっとだけ切って、爺さんがさっきから手に持ちっぱなしのコインケース(あるいはピルケース)の蓋に、そのテープの切れっ端を「はい」と貼ってあげたのです。

よく理解できない光景でした。

でも、爺さんはとても満足そうに去っていったのです。

 

なんか言って、相手にしてもらいたかっただけなのでしょう。

おそらく、あの爺さんはよくこのモールにやってきて、あのおばちゃんは過去に何回か爺さんの相手をしたことがあり、どうすれば黙って帰っていくか知っているんでしょう。

 

どう言えばいいのか、でも人間って、そんなんでも相手になってもらえるのが嬉しいのですね。

社会における孤独って、そういう感じかな。

いつも行くスーパーでも、爺さん一人の買い物が多くて、店員は上手に世間話の相手をしてあげてるんですよ。そういうスーパーが繁盛するの。

家内がいてくれて良かった。

 

 

 

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