最近、快調に本が読めています。
で、恩田陸さんの「ドミノin 上海」てのを、1日で読んでしまったのです。
この作品の前に「ドミノ」という作品があるようですが、ぼくはそれは読んでないのです。
同時に6冊図書館で借りたので、それらを読み終えたら、「ドミノ」という作品を読もうと思ってます。
ドタバタコミカルエンタテイメント作品です、これは。
面白いです。
あ、上海が舞台ですが、この本、2020年2月4日初版発行ではありますが、その前にKADOKAWAさんの雑誌に2008年11月号から2019年10月号にかけて連載されておりました。
ということで、香港警察も登場しますけども、そういう時代の、中国が今の状況になる前の上海を舞台にしておりますので、そこんとこよろしく。
ドミノって、ゲームの方じゃなくて、ドミノの牌を並べて最初の一つを倒すと順に進んでいって最終的に全ての牌が倒れているというアレの方だと思います。
でも実際にはドミノの牌は出てきません。多くの人が事件に関係して一つの大団円に向かって猛スピードで突っ走るてのをドミノの牌倒しになぞらえています。
ぼくは数えてませんけど、帯には
神様だって止められない。
はじまりの1ピースが倒されたとき、25人(と3匹)の運命が変わっていく。
と書かれてますから、25人と3匹が関わって、クライマックスに向かって走り込んでいくのです。
あんまり詳しく言うと、ネタバレとかになるので書きませんが、基本的にこの作品はネタバレても大丈夫なやつです、とだけ書いておきましょうか。
さて、そんなに関係者が多いと、一体誰が主人公で、だれに感情移入すれば良いのかという疑問も湧くかもしれませんが、それは好きなようにして下さい。
ぼくは、故郷の山で油断している時に捕獲されて上海の動物園に連れてこられてしまった、野生のアウトロー的なパンダ、厳厳の応援をしながら読んでしまいました。なお、厳厳はしっかり計画して動物園を脱走するのです。
ちなみに中国の古美術品は、案外、愛好家がいて、その人たちは大金を注ぎ込める人たちだったりします。
ですから、それ専門の窃盗団なんかがいて、外国で美術品を盗み中国に持ち込んでしまったりします。ただ、よそに売るといろいろ面倒なことが起きる可能性があるので、彼らに盗まれてしまった本来の持ち主から身代金を受け取って返却するということをしています。
で、皇帝しか持てないような素晴らしい玉でできた印章がアメリカで盗まれて、上海に持ち込まれます。
通常、こういうものを国内に持ち込む時に、それが適当な大きさであれば食材として輸入される動物の腹に、要するに飲み込ませるという手を使います。
しかしながら、窃盗を重ねる犯罪組織に対して厳しい追及をする警察に追われて、本来飲み込ませるべき胃袋のところに行けなかった犯人たちは、食材として上海に輸入されるイグアナの胃袋に、この印章を隠したのです。
そしてそのイグアナは、実は食用では無く、映画を撮影するために上海に来たアメリカの映画監督フィリップ・クレイブンの愛するペットだったのです。
なかなか外国にペットを持ち込むのは大変なのですが、食用として輸入するのなら割合簡単に持ち込めることに目をつけたカモフラージュだったのです。
ところが、気まぐれなペットは飼い主の部屋を抜け出して、ホテルの中を散歩に出て、ついスープの匂いに釣られて厨房に入り込んでしまいました。
そう、そこは中国。四つ足は机以外は全部食べてしまう国なのです。
料理長はイグアナを発見し、それを今日のメインゲストであるアメリカから来た有名な映画監督のディナーに出すための食材として包丁を捌いてしまいました。
もちろんメインディッシュの楕円形の蓋を持ち上げた映画監督は悲鳴と共に気絶してしまったのです。
しかし、ペットへの愛情、あるいはイグアナの調理方法以外に、もう一つ気になることがあるでしょう。
そう、その可哀想なイグアナの胃の中にはお宝が入っていたはずです。
ということで窃盗団も必死にイグアナを探しています。
その他にも多くの関係ない人たちが、いろんな都合や行きがかりで、そのお宝があるであろうホテル青龍飯店を目指して集まってくるハメになるのです。
というようなお話です。
ぼく、カール・ハイアセンの書いた小説が好きなんです。
この作品は、どことなくそういう感じに近いかもしれません。
安心して読める恩田陸さんが書いた作品です。
安心して身を任せても大丈夫ですよ。
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