もう、亡くなってからだいぶ経ちますが、景山民夫って、皆さんご存知ですか?
彼の書いた本を手にした時点で、ぼくは彼の顔とかテレビでの言動とかを知ってました。
放送作家でテレビに時々出演してる変な人というのが、彼についての認識でした。
あの顔がねぇ。
なぜ彼が書いた本を買ったのか、自分でもわかりません。
その時点では、まだ直木賞作家では無く、当然「遠い海から来たCoo」てのを書いてなかったと思うんですよ。
ぼくが買って読んだのは「普通の生活」というエッセイ(?)集でした。
最初の奥さんとの離婚のことから書き始められてたと思います。
面白かったのです。
たしか、なんかの賞をもらっていたと思います。
例によって、本はもう棄ててしまっているので内容をちゃんと思い出せずに、この文書書いています。すいません。
エッセイと呼んでいいのか、ちょっと考えちゃうのは、さすがに当時売れていた放送作家だけあって、どの話も面白く書いてあるのです。オチがあるみたいな。
それでも、エッセイとして評価があるのは、景山民夫という人物の個性というか、考え方みたいな、そういうものが確かに存在する文章だからです。
ぼくは、この本が好きになり、何度も読み返しました。
そして、その他の彼の書いたエッセイを、漁って読み散らかしました。
ある日、こんなのを見つけたのです。「虎口からの脱出」
昭和の始め、中国大陸を上の表紙の絵のような自動車で走り切る冒険小説、なんていい加減な記憶しか無いので、ちょっと調べました。
この本も手許に無いのです。
昭和3年、張作霖爆殺事件の目撃者の中国人少女を上海まで無事に届けろと、陸軍少尉西慎一郎は命じられます。
命じたのは、外務省の役人吉田茂。戦後の総理大臣になる人ですね。
上海から船に乗せて、少女を日本に連れて行くつもりです。
爆殺事件の犯人である日本の関東軍、張作霖の軍隊である奉天軍、そして当時の中国軍である国民党軍の三者が、この中国人少女に懸賞金までかけて、追ってきます。
さあ、西少尉は少女を連れて、奉天から上海までの1600kmを4日で走り切らなければなりません。
選んだ移動手段は、デューセンバーグという自動車。これを調達するために、その車の運転手、アメリカ人のマイケル・オライリーも一緒となります。
3人を乗せたデューセンバーグが中国大陸を突っ走ります。
なんか正面きって「冒険小説」と言える内容でしょ。
血沸き肉踊るといった感じ。
この作品が景山民夫の小説としての処女作です。
これが出版に至った話も、どこかで読んだことがあります。
夜遅くまで酒を飲んで、景山民夫の部屋に泊まった後輩が、この原稿を見つけ読み出して、面白いから出版しましょうとなったという話。その後輩は出版社で働いているのです。
それが小説家景山民夫の誕生ということらしいです。
この後、当然「クー」も読みましたが、ぼくはこの「虎口からの脱出」が、好きです。
なんか、弾みで2冊の本を思い出してしまいました。
そのうち図書館で借りてきて読み直してみましようか。
これカテゴリーを読書にしなかったけど、まあいいや。