小学生低学年の時は、怪人二十面相、少年探偵団、明智小五郎の登場する、挿絵と大きな文字が特徴の少年向けの本や、やはり子供向けのシャーロック・ホームズ、ワトソンが少年助手として登場する、挿絵の入ったやつなどを読んでました
それから後、小学生の後半から中学生の頃は、やたら推理小説読みまくりました。
アガサ・クリスティはじめとする翻訳ものばかり。
創元推理文庫とかお世話になりました。
読書好きの友達の影響でハヤカワミステリーにも手を伸ばし、フランスミステリーやアメリカン行動派探偵小説などを読むようになりました。
ハニー・ウェストシリーズは3人ほどの友達の間で貸し借りしてました。
ミステリーじゃないけど007シリーズもこの頃読みました。
次第に本格推理物は読まなくなりました。
あまりにも現実味が無いのと、小説自体が面白いのが少ない、などと分かったようなことをほざいてたのです。
正直、飽きてたんだと思います。
ずっと翻訳ものばかり読んでましたが、年取るに従っていつのまにか国産品を読むようになりました。
最近は、横溝正史のジュブナイル物が好きになり、電子書籍で手に入れられるだけ買いました。御子柴少年が活躍したりするやつです。怪獣男爵なんかぶっ飛んでますよ。ああ、この人やはりすごい作家なんだと再認識。
もう本格推理物がどうだとか、しょうもないこと考えなくなりました。
発想が良ければ、それで良いでしょう。
リアリティってなんの価値があるでしょうか。
はい、「魔眼の匣の殺人」です
と、覚悟が決まり、最終コーナーに差し掛かった年齢のぼくが手にしたのが「魔眼の匣の殺人」であります。
前も書きましたが、これ「屍人荘の殺人」を書いた作家の2作目です。
「カメラを止めるな」みたいに話題になった作品です。特殊な状況で殺人が起きて、探偵役の剣崎比留子が事件を解決するというパターン。どんなに特殊な状況であっても、犯人は人間です。
読者はトリック、謎解き、探偵のパーソナリティその他推理小説の特徴的なものは求めていません。
もちろん、小説としてどうか、などと考えることは放棄しています。
状況、設定が全てです。
屍人荘の周りで起こった事件は、その裏に斑目機関という存在がいます。
今回の魔眼の匣というのは、昔、その班目機関が作った研究所のようです。
月刊ムーを連想させる、月刊アトランティスという雑誌に載った手紙というか怪文書を基に、w県の山奥に班目機関の作った研究所があるという情報が浮かんできます。
主人公である羽村譲は神紅大学の1回生にして、同大のミステリ愛好会の会長です。
実は、前任の会長は、前の事件「屍人荘」にて命を落としたのです。
ミステリ愛好会は、会長の他に会員は1人だけ、それが2回生の剣崎比留子。裕福な家の子女にして大変な美人。警察も一目置くほどの推理力を持ち、警察協力章を授与されており、優れた頭脳を持つ。
という人物設定。
ここで、いやだと思う人は読まないほうが良いですね。
ぼくは歳をとって、いろいろ寛容になってますので読み進みました。
今回は未来を予見できる超能力者が登場します。
彼女のいる魔眼の匣に主人公2人を含む9人の男女が訪れます。
超能力者は、「あと2日のうちに、この地で男女2人ずつ、計4名が死ぬ」と予言しています。
この予言を信じる近所の村人たちは、自分たちに害が及ばないように、魔眼の匣と下界を繋ぐ橋を焼き落としてしまうのです。
さあ、舞台はクローズド・サーキット。
さらにややこしいことに、この9人の中の高校2年生の女の子、十色真理絵も何か事件が起こる直前に、その事件を予見する絵を描いてしまうという能力者だったのです。
はい、予言通り、人が死んでいきます。
しかし、これは殺人で、犯人は魔眼の匣の中にいる人物の中にいるのです。
第1作に引き続き、状況と設定を楽しんでくださいという訳です。
頭の先から全身真っ赤ないでたちのホステスって、どういう店で働いているのでしょうか。
あまり上等な店ではないと思います。
作中にも田舎の駅前のスナックが職場のように書かれています。
彼女は、この近所の田舎育ち。
そういう設定の女性が「非理論的」などという言葉を使用しながら、大学生みたいな説明を口にしたりするのかよとか、いろいろ突っ込みどころがたくさんあります。
でも、そういう事を気にしてはいけないのです。
無理無理じゃないか、とか、都合良すぎるとか、いろいろ思うでしょうが、精神統一。
しかし、一番困るのは、ワトソン役とする羽村譲の存在意味はあるのかという疑問。まあ、これ作品の中でも書かれているのですが。
ホームズ役は剣崎比留子。
文章は三人称、ホームズものみたいに二人称でもありません。
羽村譲、事件解決とストーリーに何か必要性があるでしょうか?
ありません。
作者も気になったんでしょうね、恋愛感情みたいなのをかもし出しています。
いずれにせよ、文句を言うために小説を読むのではありません。
やはり、自ら楽しもうという態度で接するべきです。
それなりに面白いです。
斑目機関関連の続編がありそうです。
出たら、ぼくは読むと思います。