キンタロー イズ “ナイテイル”
ジン・キニスキーが、テレビカメラの前でそう叫んだのを急に思い出しました。
まだ、寝床の中で、暑さで目が覚めてしまった時です。
ちなみに、ジン・キニスキーと言うのは昔のプロレスラーです。
NWAヘビー級チャンピオンベルトをルー・テーズから奪ったレスラーです。
ベルトが移った試合で、キニスキーが勝ったわけでは無さそうなのですが。
まあ、テーズの王座が長すぎて、客に飽きられて興行的に良くない状況になったので、どんな経緯であれベルトが移らなければならなかったようです。
その後、チャンピオンとしてアメリカ中を回らなければならなくなり、「闘うチャンピオン」などと呼ばれたのは良かったのですが、家に帰れない状況で奥さんから「チャンピオンが続くなら離婚する」と言われて、まあそれと関係あるのかどうか、ドリー・ファンク・ジュニアに敗れて王座から降りたのです。
スピニング・トゥ・ホールドという技で負けたのですね。
チャンピオンを降りてから、けっこう来日しました。
冒頭の言葉を言った時は、「黒い魔人」のボボ・ブラジルと一緒に来日した時です。
どのタイトルだったのか、アイアン・ココバットのボボ・ブラジルが、原爆頭突きの大木金太郎とベルトを争ったのです。インタナショナルかアジアヘビーだったのか憶えがありません。
両選手とも得意技が頭突きで、組み合わせとして面白いものでした。
ボボ・ブラジルが有利だと、同じ外人選手としてキニスキーが「キンタロー イズ “ナイテイル”」と叫んで見せたのです。
このカタコトの日本語を混ぜたセリフを、ジン・キニスキーに言わせたセンスが素晴らしいです。
ボボ・ブラジル「黒い魔人」のアイアン・ココバット
ボボ・ブラジルは、黒人レスラーで、若い時はものすごく強かったらしいです。
野球のジャッキー・ロビンソンと同じで、黒人が目につくところで活躍することが、良く思われなかった時代の人です。
リングネームの「ボボ」というのは、諸説あるみたいですが、「ブラジル」というのは人種差別の無いブラジルに生まれたかったという本人の気持ちからだそうです。
ボボ・ブラジルがUSヘビー級のタイトルを取った時に、彼の車に、彼が乗ったまま火をつけられてしばらく入院したという話をどこかで読んだ覚えがあります。
そのくらいの人種差別の中でプロレスをやっていました。
頭が硬いというのが、どういうことなのかわからないのですが、あの長身で少しジャンプして繰り出す頭突き、アイアン・「ココバット」は、威力があったのです。
晩年に来日した時は、かなり残念なパフォーマンスでしたが、「ココバット」という名前のバンドもあるらしいので、人気はあったのですね。
原爆頭突きの大木金太郎は、キム・イルとして韓国で
力道山は韓国の人だというのは、もうみんな知っている話です。
日本生まれではなく、韓国からやって来て、戦後の日本で成功したのですね。
はっきり出身国をあかして活躍している今のモンゴル力士等とは違い、国籍を曖昧にしたまま相撲で活躍し、プロレスを日本にもたらしたのです。
こちらも強いレスラーでした。
原爆頭突き。
やはり石頭。
日本プロレスという会社の終わりころ、ボボ・ブラジルとタイトルを争いましたが、会社が無くなり、猪木や馬場の会社でも試合を行いました。
アントニオ猪木vs大木金太郎の試合ってのも、かなり話題になりました。
大木金太郎は、母国に帰り、キム・イルという名前でリングに立ちました。
韓国の力道山になろうとしたのですね。
向こうの国で、どのような評判だったのか、僕は知りません。