70代の真実

70代年金生活者の生活と思ってること、その他思がけないことも

「メソポタミアの殺人」を読んでしばらくしてからの推理小説考

まだ未定なのですが、そのうちこのブログのタイトルを変更しようかなと密かに考えています。

できればブログの雰囲気も変えて、文体もちょっと変えてみようかな、と。

実際どうなるのかは、ちょっと時間かけますけども。

で、ブログタイトル変更等を行う前に、ダラダラした現在の状況を引きずったまま、上記タイトルの内容の文章を書き散らしてみます。

 

メソポタミアの殺人」てのは、ついこの間紹介したアガサ・クリスティーの作品です。

<ネタバレ無し>なんて言っちゃって、扱いが冷たかったかなと、ちょっと思っております。

で、今から盛大にネタバレをするって訳ではありませんので、どうかこの後も読んで頂きたいと願っております。

 

上記の記事にも書きましたが、ぼくはこの作品のトリックというか殺人方法が気に入ってません。

そんなやり方、実際うまくいくとでも思いますか?

と、アガサに詰め寄りたいような気持ちなのです。

 

でもね「推理小説って、そんなにトリックの出来が大事なの? 」という疑問もあるんですよ。

おそらく、この作品のキモは、乾燥して、強烈な日差しが痛いほど暑いイラクの砂漠の中の人里離れた発掘隊のサイトの独特の雰囲気なんだろうと思います。

そういうのをイギリス人のアガサは描いてみたかったのかな、なんてね。

しかし、そんな雰囲気、この作品の中で描かれていたっけ?

まあ、そう言わずに。

 

ぼく自身は、はるか昔にイラクの砂漠の中の日本企業の土木工事サイトに数日いたことがありまして、ああいう中にサイトがあり、白人の発掘調査隊のメンバーが生活しているイメージが映画のように頭の中に浮かんでしまったのです。

砂漠といっても、あそこら辺は土漠で、さらさらした砂だけで構成されているわけではありません。

荒涼とした風景の中に、突然ラクダが目に入った時に恐竜を見たような気がしました。実際、西洋のドラゴンてラクダがイメージの原型だそうですもん。

とにかく、鳥取砂丘や「月の砂漠」とはイメージだいぶ違います。

 

で、その砂漠の中のサイトに、麗しのルイーズがいるのです。

決して周りの男たちの気を引くような下品な行動をしなくても、男たちはルイーズを気にせずにはいられません。

そして、ルイーズは男たちを自然に支配しています。

もちろんサイトにはルイーズ以外の女性もいます。嫉妬なのか、あまりいい感情を彼女たちはルイーズに対して持っていません。

 

イギリスには絶対に無い砂漠の気候の中で、本国から遠く離れて遺跡発掘を行う調査隊。

そういう独特の雰囲気の調査隊サイトの宿舎で、昼食後の昼寝をしていたルイーズは殺されます。

 

異国情緒たっぷりの舞台、美しい女性を取り巻く人間関係、被害者の人柄、気怠い昼下がりの皆がそれぞれ自分の場所で過ごしている時間帯に行われた殺人。ルイーズの部屋に誰もアクセスできない状況の中での殺人。

こういう要素の提示こそがミステリーにとって大事なんだ、殺人方法のトリックなんか少し雑でも良いじゃない、とアガサは笑って主張しているような気がしてるんですよ。

少々雑でも、え?それどうやって知ったのって事柄を関係者を集めた部屋でポアロが披露しても、無理やんこの推理に導かれた結論でも、ほら、ポアロは真犯人を名指しして事件を解決してくれたじゃないの、面白かったでしょ、ってね。

そうなんです、推理小説ってそういうもんなんです。そうやって楽しむもんなんです。