70代の真実

70代年金生活者の生活と思ってること、その他思がけないことも

下宿物語 風吹ジュンの登場

東京で学生だった頃、ぼくは下宿に住んでいました。

当時は、そういうのが普通でした。

 

どんな所だったのかと言えば

下宿と言っても、当時は食事が出るタイプは少なくなっていて、ぼくが入っていたのも食事無しのところでした。

大家さんの家族の住んでいる家なのですが、1階に4畳半と3畳間が1つずつ、2階に4畳半が5つ、3畳間が1つ、そして4畳半が2部屋と台所がついたタイプの部屋が1つ。

けっこう大きな家ですね。

 

トイレは共同、下宿人用の物干しがあって、風呂は銭湯に行くのです。

各部屋のドアには鍵が掛かるようになってました。

 

玄関は大家さん家族と共用しており、確か閉まってしまうことは無かったと思います。

門限なし。

大家さんの居住エリアの入り口には鍵付きのドアがあったので、玄関の鍵は必須では無かったのです。

 

 

一階の玄関から入ったところにピンク電話がありました。

下宿人に電話を掛けるときは、このピンク電話にかけます。

大家さん家族か下宿人の誰かが電話を取って、取り次いでくれました。

 

 

下宿人は基本的に学生。学生下宿です。

ですから下宿人同士のつながりがありました。

 

食事は外食ですから、近くの安い食堂で食べます。

大学のそばでしたから、食事はやたら安かったです。

ぼくが1年生の時に、ラーメンが80円だったと思います。

定食は100数十円から200円くらい。

 

大学のそばで無くても、新宿のアカシアという食堂のロールキャベツとライスのセットが、やはり100円代だったと記憶してます。よく食べてました。

新宿は、鶴亀食堂とか、汚い安そうな食堂がけっこうありましたが、アカシアのロールキャベツが一番安かったんじゃないでしょか。

 

たまに下宿人が連れ立って夕食を食べに行ったり、銭湯に行ったりしてました。

下宿の中では、お互いの部屋を行き来してました。

部屋に鍵が掛かりましたが、みんなで共同生活しているような感じがありました。

 

 

飲む酒は、ほとんどサントリーのジン。

500円で買えて、同じ値段のウィスキーは不味くてダメだけど、ジンならコーラで割れば飲めますから。

金のあるヤツが1瓶買って来ます。

飲ましてもらうやつがコーラの大瓶買ってきました。

同じく、誰かがピーナツか何か、安いツマミを買ってきて、冷蔵庫から氷を出して飲みます。

 

周りは同じような学生下宿が集まってました。

ちょいと付き合いのある学生がいる下宿もあります。

ジンの1瓶を飲み尽くすと、よその下宿の知っている学生の部屋に勝手に入って、ウィスキーとかを取ってきて飲んでしまうこともありました。

どの部屋にどんな酒があり、あいつは鍵を掛けずに出るということを知っているのです。

ま、部屋の主も付いてきてしまうこともありますが。

 

 

平凡パンチの白黒グラビア

ある日、誰かが平凡パンチを買ってきました。

ぼくは表紙から順に見ていきます。

カラーグラビア、白黒の写真のページ、そして記事。

 

白黒の写真3、4ページにわたって、見たことない女の子が写ってました。

ジーパンにTシャツ。

髪が長くて、独特のカール。

なんか妙に気になりました。

 

「おい、これどうだ?」

同じ時期に、この下宿に入ってきて、ぼくの横でインスタントコーヒー飲んでいるヤツに写真見せます。

「かわいいなあ」

「この名前、どう読むんだろう」

「かざふき じゅん、か?」

「いや、ひょっともして、ふぶき、って読むんじゃないか?」

「それは無理だろう」

「でも、ふぶきってのが言いやすい」

「そうか、そうだな」

 

なんてこと言ってました。

その時から、ぼくらは風吹ジュンのファンになったのです。

なんとなく、この初めて見た、名前の読み方もわからない子が好きになりました。

だって、普通のタレントと雰囲気全然違うんですから。

 

しかし、その後、しばらく彼女を目にすることは無かったんです。

どうしたんだろ?

なんて言ってたら、アイドルタレントとして歌なんか出しちゃって、テレビで見ると、あのグラビアから受けた印象と全然違う。

 

やめてくれと思ってたら、失踪しちゃった。

失踪して、ああ良かったと思うのは変ですか?

 

ようやく戻ってきた時は、あのグラビアの感じがしてて、うれしかったです。

それから、ずっと好きです。

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