パチンコの景品交換ってか、取った玉を現金化するのは、地方の条例で規制されているんですよね。
直に玉を現金にすると、ちょっとあんまりなので、一旦景品をもらって、別の場所でその景品を現金に換えます。
福井は認められているので、パチンコ屋の後ろとか、すぐにわかる場所で現金と交換してくれます。
現金に替えてくれる景品は特定の物で、昔はライターの石とかボールペンとか店によって決まっていました。
「両替」なんて言ってました。
ぼくは、もう何十年もパチンコしていないので、今はどうなっているのかよく知りません。
この景品を現金化するのを「もや買い」なんて言うみたいです。
これは、戦後、戦争未亡人の仕事としてできたと聞いたことがあります。旦那が戦死して、残された奥さんの仕事がないと困るので、こういう仕組みを作ったらしいです。
ぼくが東京にいた頃は、この「もや買い」は都では認められてなかったのです。
出た玉を店のカウンターに持っていき、「両替」と言うと、ライターの石などに替えてもらえるのです。
で、交換所は教えてもらえないので、しばらくその場で待っています。
そのうち、常連が「両替」をしますので、その人の後をついて行くのです。
場所もパチンコ屋から少し離れた所で、人通りの少ない路地みたいなところを歩いていきます。
初めての時は、ちょっとドキドキしました。
そのうち、「こっそり」という風情の小さな窓が奥まったところに見えてきます。
先に歩いていた人が、現金を握ります。続いてぼくも黙ってライターの石を窓に差し出すと、代わりに数枚の千円札が出てきます。
窓は小さく、中のおばさんの顔も見えませんでした。
こそこそした行動でしたが、それが何となく社会の裏を見るような気持ちになって面白かったです。
大学の休みの時に福井に戻り、パチンコをすると、この「両替」が堂々とされていて驚きました。
福井の条例では認められているのです。
自分の生まれ育った町ですが、高校を卒業するまでパチンコなんてしませんでしたから、東京のやりようと違うことを初めて知るわけです。
名古屋では認められているのでしょうか。
景品交換所が襲われたニュースを見ると、パチンコ屋の建物の後ろみたいな感じですね。
こういう所は、あんまり襲わないでおいてねと、思わずつぶやいてしまいました。