申し訳ないことですが、ぼくは金井真紀さんを知りませんでした。
日曜の新聞の書評欄に、金井真紀さんともう一人のジャーナリストの人と二人で書かれた本が紹介されてました。
ちょっと面白そうだなと言う気がして、すぐに福井市図書館で検索したのですが、ありませんでした。
この本は、もう覚えてないのですが、たぶん安田浩一さんと金井真紀さんの二人で書かれた「戦争とバスタオル」だと思います。
仕方ないので、著者お二人のそれぞれの著書を検索すると、福井市の図書館には、それぞれ何冊かあったのです。
で、安田浩一さんのは、ちょっと重たい感じというか、借りてもぼくは読まないだろうと思ってしまう(あくまでタイトルだけを見た印象に過ぎませんよ)ので、金井真紀さんの著書を読ませていただこうと考えたわけです。
金井真紀さんは、文章とイラスト両方をされています。
ということで借りてきて読み終えたのが、「パリのすてきなおじさん」という本です。
フランス在住のジャーナリストにして、シンクタンク研究員であり異文化間コンサルタントでもあるという、割合訳のわからない肩書きのついた広岡裕児さんが<案内>を担当して、金井真紀さんをパリのおじさんたちに引き合わせて、たぶん通訳もして、そのインタビューを金井真紀さんが文章とイラストにした本です。
この案内担当の広岡裕児さんの書かれた「取材後記」から、抜粋して引用するのが、この本の本質を紹介するのに都合がいいかなということで
金井真紀さんはよく驚く。「アッ」とか「ヘエ」とかしっかり口を開けて声に出す。
ただでさえ丸い目がますますまん丸くなる。
こんなリアクションをしてくれれば、話す方としてもうれしいものだ。しかも録音などせずに手書きでメモをとる。もの怖じせずに質問を重ねる。おじさんたちも一生懸命に答えないわけにはいかない。会っている時間は短くても、取材のあとにはいつも充実感が残った。
そういうインタビューなんですね。
対象となったおじさんたちは、街にいる普通のおじさんたちの中で興味を引いた人たち。
で、この本は、
あがってきたゲラを見ながら「そうだよ、パリってこうだよ!」と叫びたくなった。
だが、これはパリの旅日記ではない。パリはあくまで手段に過ぎない。
この旅は、人間というもの、生きるということの破片を集める旅だった。
ですって。
パリって、歴史があるけど、犬のうんちがよく落ちていて、場所によってはうんこ臭かったりするんだけど、それは落ちている犬のうんちだけのせいではないような気がする、なんというか素敵なんだけど長い歴史の垢がこびりついているような街です。英語が通じづらくって、人もあんまり良い感じはしないというのが、ぼくの偏見です。すんませんぼくはあまりパリが好きではありません。
でも、さすがはフランス革命の国です。いろんな事情のある人がいろんな国からやってきて、パリに住みついています。
そういうそれぞれの歴史と事情そして都合てものを、このコンビは聞き出し明らかにしてくれてます。
インタビュアーの目は優しいものです。
世界はいろんな色をしている。
そのわくわくする事実を、多くの人に味わっていただけたらと願う
てのが金井真紀さんのあとがきの最後に書かれた言葉です。
面白かったです。