最近のぼくにしては、早く読んじゃった作品です。
それくらい面白かった。
今年、2024年1月に発行された本です。
タイトルは、西暦の年。
1947年です。
戦後ですね。進駐軍がいた頃。ぼくは生まれてません。
表紙は、その頃の、たぶん東京の街並みを高いところから写した写真を、色を調整したり絵の具をちょっとつけたりしたものだと思います。
この本、紙が薄くてツルツルしてます。うっかり2枚一緒にめくったりすることもあるくらい。
本の厚みが、先日読んだキングの「アウトサイダー」上下のどちらか一巻程度。
500近くのページ数かなと思ったのですが、この紙薄いんだと改めて気づきました。
ええ、ページ数多いです。ラストページが611です。
日本人の作家の作品ですけど、主人公はイアン・アンダーソンという英国陸軍中尉です。
日本語喋れません。
イアンの兄は戦争中日本軍の捕虜となり戦場で斬首され亡くなりました。
不当な扱いです。
イアンは、兄の首を斬り落とした仇たちを討つために、敗戦直後の日本に乗り込んできます。
アメリカ軍、GHQの支配下にある日本。ヤクザ、第三国人等を上手に利用して使うGHQ、そしてCIA。
連合国と言っても、日本の支配者はアメリカで、イギリス人なんてちょいとお邪魔な状態でした。
兄を殺した部隊の指揮官は、上手にGHQに取りいり、利用価値を認められて、戦犯にもならずそれなりの立場を得ていました。
そんなところに敵討ちに現れたイアンはとんだお邪魔虫です。
父親が有力な事業家なので経済的にはかなり恵まれているイアンは、父親が上手にアメリカの上部に金を握らせたりしたので、それなりの扱いは受けるのですが、できれば大人しく国に帰って欲しいと全員が思っているという状況です。
日本語が喋れず、通訳頼みのイアンは、どのようにして目的を果たすのでしょうか。
というようなストーリーです。
この作家、なかなか上手いなと思ったのは、イアンは黄色人種に対して強烈な差別意識を抱いています。ただの猿としか思ってません。
嫌な奴でしょ。
こんな主人公どうすんだよ。
それが、話が進むにつれて、日本人や中国人、朝鮮人(朝鮮戦争の直前の時代です)に対して、差別意識を抱きながらも次第に心が通じていきそうな感じなんです。
冒険アクション小説なんだけど、心が触れ合ったりして。
ただね、敵はいるけど味方はいない、ま、味方みたいな感じなのはいるけど、それはいろんな都合やシチュエーションによって敵対してないだけなんですけどね。
周りは敵ばかりって話です。
これ大した作品です。
もちろん面白いんです。
気に入らないのは、一件落着後のラストシーンだけ。これ、やりすぎ。でも、こういうラストを望んでいる人も多いかも。
ま、楽しんでみて下さい。
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