65って何?
プライムビデオのタイトルは、ご丁寧に「65/シックスティ・ファイブ」などと、この数字は英語で読めよと主張してます。
とりあえず、あらましを
この主人公、背が高くて鼻が長い、最初よく見る俳優、スターウォーズでカイロ・レンを演じたアダム・ドライバーです。売れてるんですね。
ぼくは、この人見ると、黒澤明監督の息子で黒澤久雄って人、昔よく見たのですが、彼を思い出します。ちょっと似てるような気がするんです。
ただ、アダム・ドライバーは大谷翔平の横に立っても、それほど小さくは見えないでしょうね、191センチですから。黒澤久雄は、そこまで大きくありませんです。
このアダム・ドライバーが演じるのは、ミルズという名の宇宙人。
ソラリスという惑星に住んでます。結婚して娘が一人います。
この娘、ぼくは病名を知りませんけど、かなり深刻な病気にかかってます。この治療費が結構高そうです。
その治療費を稼ぐために2年間の宇宙探査の仕事を引き受けなさいよ、と奥さんから尻を叩かれ、ミルズは宇宙に旅立ちます。
で、例によって長い宇宙航海の中で、みなさんぐっすり睡眠に入っていて宇宙船は自動運転になっています。
で、この宇宙船、隕石群に遭遇してしまいます。隕石って言って良いのかな?彗星?
とにかくたくさんの星屑、あるいは星になり損ねたような塊がたくさん集まっているところに入ってしまったのです。当然、宇宙船はガンガン岩に衝突して、損傷を受けます。
おそらくパイロットだからなんでしょう、ミルズだけ叩き起こされて、宇宙船は手動モードに切り替わり、近くの未知の惑星に不時着します。
大気圏突入の際の衝撃と摩擦熱、あるいは地面に着陸する時のショックなどで機体はボロボロ、一部は千切れて飛んでいってしまったり、とにかく大きなダメージを受けて、宇宙船は着陸したのです。
ミルズは、色々点検し、乗組員は自分以外全員死んじまったと判断します。
さて、みなさん、この映画、最近には珍しく一時間半ほどの短めの作品です。
そして、だらだらと野暮な説明なんかしないのです。
ただ、なんとなく観客はいろんなシーンの断片から、必要な情報を理解できるようになってます。
その辺りの、具体的なことはここで書きません。
しかし、この長い航海は折り返し地点を過ぎている、少なくとも出発して1年間は経過している。そして、航海の間、ミルズは家族からの便りを、ビデオレターみたいな形で受け取っている。そんで、とても残念なことですけども、娘は病気に勝てず、亡くなってしまっています。
このことを分からせる手がかりはいくつも提示されますが、その最初の一つ、ミルズは事故の報告をしますけども、自分の位置は自動的にわかるはずですけども、救助は必要ないと連絡してしまいます。
この惑星の大気は呼吸に適していました。ミルズは宇宙船の周りの土地を調べますが、どうやらこの星には恐竜が住んでいるようなのです。大きいのも小さいのも、いろいろ。
そして、宇宙船の近くで無傷の睡眠カプセルを一つ発見します。中には女の子が眠っています。ちょうど亡くなったミルズの娘くらいの年齢です。
目覚めた彼女は、ミルズの言葉が通じません。違うところの人なのです。変な話ですが、ミルズが喋るのは英語です。なんで?
まあ、細かいところは気にしないでおきます。
とにかく彼女の名前はコアということだけはわかりました。
ミルズは乗員名簿を調べて、コアが彼女の両親と共にこの船に乗っていたことを知ります。彼女の両親は、不時着の際に亡くなっているのでしょう。
込み入った会話はできないので、彼女に両親の死は伝えません。
そこらを探検するうちに、分析器が、15キロ離れた山の頂上付近に宇宙船の切れ端があり、そこに脱出機のあることを確認しました。
自分以外にコアが生きているので、ミルズは再び本部に通信をして、救助を要請します。
そして救助機とドッキングするために、15キロ離れたところにある脱出機のところまで、コアと共に、この恐竜の惑星を旅することになるのです。
ま、内容的には肉食恐竜がたくさんいるこの惑星で、両親を亡くした少女と、娘を亡くしたおっさんが一緒に冒険の旅をして、助け合いながら家族のような絆を結び、流星群がこの星を襲い、多くの恐竜が絶滅する災害の中、危機一髪、脱出機で飛び立ち、無事救助されるという、そういうストーリーなんです。
でね、このミルズが不時着した惑星がどこなのか、映画の中での説明はありません。
でも、ぼくたち観客は、映画を見る前に読んだ作品紹介の中で、そこが恐竜たちが絶滅する直前の白亜紀の地球だと知ってます。
タイトルの「65」てのは6500万年前という意味です。
で、映画では、全部話が終了した後のタイトルバックの中で、自然に覆われた原野が、時と共に変貌し、やがて街に変わっていく様を見せられるのです。その時の流れと、最後の街の風景、そして隕石群の落下によって恐竜が絶滅したという知識の下敷きを合わせて、ああここはもしかして地球だったのかと気づくようになってます。
これ、SFだけど西部劇なんです。良い映画だと思いました。
なんか語り口が良いのです。
それに言葉の通じないコアという少女と、ミルズの触れ合いというか理解し合いがなかなか良いです。
アダム・ドライバーの表情というか風情、彼の演技が良いんだなあ。娘を亡くして希望を失っているおっさんが、娘と同じような年頃のコアの心をほぐし、助け、助けられ、自分の心もほぐされながら、エグく気持ちの悪い小型の肉食恐竜と戦い、最後は降り注ぐ隕石の中ティラノサウルスとも戦い、生き延びて脱出していく、そういう昔からある映画のパターンの踏襲の中で、伝統的な西部劇にいるような孤独な人物てものを見事にぼくらに見せてくれてるのです。
この映画、評価の星は3つ半。低い評価ですけど、ぼくは4つ半くらいはあげたいなと思います。
プライムビデオに加入している方は、ご覧になると良いかもと思っております。
ランキングに参加しています。バナーにクリックいただけるとうれしいです。