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「コウノトリの道」徹底解析4最終編  派手にネタバレてます

ジャン=クリストフ・グランジェの小説処女作「コウノトリの道」のストーリー展開というかプロットというか、小説の骨組みをバラして仕掛けを調べましょうという狼藉目的で書いてます。

 

 

1、2、3は下記をクリックして下さい。

なお、長文御免です。

 

いよいよ解決編へ突入します

アフリカまで行って、マックス・ベームの心臓移植の経緯、ダイアモンド横流し密輸組織の解明が済みました。

あとは、心臓移植を行なった医師でダイヤモンド密輸の果実を受け取っていた男の正体の解明が残っています。

 

しかも行く先々で心臓を抜き取られた死体というのも、その医師が心臓移植のために行った殺人であるはずです。

 

 

アフリカから戻って主人公のしたこと

 

マックス・ベームの検死解剖をしたヴァレル医師への問い合わせ

マックス・ベームに心臓移植をした医師、ダイヤ密輸の黒幕を突き止めたいのです。

1977年に中央アフリカにいて、心臓移植ができる医者の名前がわかれば良いのです。しかも、彼はフランス語を話します。

何人もはいないはずです。

そういう医者を探して欲しいとヴァレル医師に頼みました。

 

ヴァレル医師からの回答は、後に得られます。

これは、ものすごく大きなインパクトのあるものです。

 

ブルガリアのロマ(ジプシー)の医者ミラン・ジュリクへ、殺されたラジコのHLA型を問い合わせる

HLA型というのは、心臓移植の相性を調べるために必要なものです。

ブルガリアで心臓を抜き取られて亡くなったラジコのH LA型を、ラジコの検死解剖を行ったミラン・ジュリクに問い合わせます。

これは、アフリカで心臓を抜き取られていたゴムヌと同じ型でした。

 

ミラン・ジュリクとは、ブルガリアでラジコの検死結果を教えてもらうために会っています。

ジュリクは小人症。1メートル50センチはあるけども、頭が大きく上半身がずんぐりして、この症状特有の外見でした。

 

会った時に、ジュリクは主人公ルイの顔に見覚えがあると言いました。

今回の電話の際に、ジュリクは、自分がパリで知っていた医者にルイが似ていると言います。

家族に医者はいるのかと聞かれて、ルイは1965年の大晦日に亡くなった父親は医者だったと答えます。

 

これも後のための伏線です。

 

 

デュマ警部は殺されていた

久しぶりに自分のアパルトマンに帰ったルイは、溜まった新聞をめくります。

 

アントワープのダイヤモンド取引所で、ダイヤモンドを売りにきた若い女に近づき何かを囁いたデュマ警部は、その若い女に撃ち殺されたのです。

即死。

犯人の若い女はサラ。

 

ルイは囚われているサラに会いに行きます。

インターポールの刑事の立ち会いのもと会いました。

サラが姿を消してからの行動を知ります。

ここで、デュマ警部の正体を知らされます。

サラは、インターポールの捜査官から逮捕されてから聞いたのですが、デュマ警部はダイヤモンド密輸団の一味だったのです。

 

デュマ警部は、マックス・ベームがダイヤをさばきにアントワープに来る時に、いつも一緒に来ていたのです。ダイヤモンド取引所の人間が何人も証言しています。

突然、マックス・ベームが亡くなり、密輸のカラクリまでは知らなかったデュマ警部は、ルイを利用して消えたダイヤモンドを見つけ、密輸システムの秘密を知ろうとしたのです。

 

このデュマ警部、ストーリー展開のためにすごく便利な人物ですね。

主人公の冒険への動機を提供し、読者に必要な情報をファックスの報告書という形で整理して提示して、そしてこの後、サラがデュマ警部を殺害したことが縁となり、ダイヤモンド密輸を調べているインターポールの捜査官と主人公の会話の中で、マックス・ベームは密輸で手に入れた金をほとんど<統一世界>に入れていたと知らされるのです。

死んでからも役に立つデュマ警部。

 

インターポールは、すぐに動けないので、自分たちの代わりに心臓を抜き取っている犯人を追い詰めてくれと励まされてしまう主人公ルイでした。

 

ヴァレル医師からの回答とルイの過去への大きなヒント

条件に回答する医師は、ピエール・セニシエだと言われます。心臓移植の先駆者です。

しかし、このピエール・セニシエは1977年にベームの手術はできません。

 

セニシエは、1965年の大晦日に、中央アフリカ共和国で、クーデターのどさくさで解放された囚人たちに襲われて火事で亡くなっている。奥さんと二人の息子も全員焼け死んだからだとヴァレル医師は言います。

 

それって、ルイの身の上と同じじゃん。

 

 

主人公ルイの隠された過去

ルイは、中央アフリカで両親と兄が殺された夜、ひどい火傷を負いながら逃げ込んだフランス大使館で、自分を向かい入れてくれた養父母ブラスレル夫妻の家に向かいました。

養母ネリ・ブラスレルが、ルイの身の上を教えてくれました。

 

ルイの父親はピエール・セニシエ。

彼はひどく残忍な男で、子供たちも虐待を受けていました。

虐待する対象として長男を気に入っていた父親は、生まれつき心臓の悪い兄のために次男のルイから心臓を抜き取って移植しようとしました。

その時に、解放された囚人たちが家を襲って火事になったのです。

母親は、ルイを助けようと、どさくさの中、ルイをフランス大使館まで運び、前から仲の良かったネリ・ブラスレルに預けて、自分は家に戻りました。

 

あの父親にルイが生き残っていることが知れると、またルイが危ない目に遭うので、アンティオッシュという名字をでっち上げて育てました。幸い、ショックでルイも自分のことを思い出せなくなっていました。

ただ、ルイが自分たちのそばにいると、父親にバレる可能性があるので、できるだけ接触を減らし、金銭的な援助だけは惜しみなく与えて育てたのでした。

 

父親ピエール・セニシエは、他にも残虐なことをしており、あの事件の後は名前を変えて、母親と長男との三人で暮らしているのです。

現在の名前はピエール・ドノワー。<統一世界>の創始者です。

 

 

そして決着

現在、カルカッタに住んでいるピエール・ドノワー。

次男のルイを犠牲にして長男の心臓移植をしようとした男。

最適の心臓を持つルイがいなくなったので、長男に適合する心臓を探し、抜き出して長男に移植することを繰り返しているが、いまだにより適合する心臓を探して殺人を繰り返している狂った医者。

そして、巨額な資金を集めて、世界的な医療組織を運営している男。

 

ルイはカルカッタに行きます。

父親との間で決着をつけるために拳銃を持って。

 

ルイと会った母親の変化に気付き、拷問の末ルイの企みを父親は知ります。

都合よく心臓の方が来てくれた。

罠にハマり、麻酔を打たれてしまった主人公。

 

はい、ここで用意された伏線の回収です。

銃を持ったミラン・ジュリコが現れて、父親を撃ち殺し、ルイは助かります。

 

ミラン・ジュリコもピエール・セニシエの悪魔の実験の材料にされ、小人症もその結果だったのです。

ルイの顔を見て、そしてルイの父親が医者だったことを知り、ルイとピエール・セニシエの関係に気がつきました。

ルイが、やがて父親のところにたどり着くだろうと、ルイの尾行をしていたのです。

 

すごい、都合の良さです。

 

 

こうやってストーリーを振り返ってみれば

いろいろ突っ込みどころはあるにせよ、非常に綿密に設計されたストーリーです。

なんか、外人らしいしつこさを感じますね。

3本の謎が絡み合い、最後に向けて伏線を張りまくり、それをきちんと回収していく。

素晴らしいです。

脂っこすぎますけども。

 

行く先々の風土や民族の説明などが多すぎて、正直読むのがしんどい作品でした。

そういう意味では、出来はあまり良くないのかもしれません。

でも、このプロットの作り方は、さすがに一流です。

 

どうもこれ、映画にもなっているみたいです。

このストーリーを映画で観ると面白いだろうと思いますけど、ストーリーの作り方がしつこすぎるので、おそらく少し省かれているかも知れません。

 

 

長文の連続で、大変ご迷惑をおかけしました。

お許しください。