- 作者: ウンベルトエーコ,河島英昭
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1990/02/18
- メディア: 単行本
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皆さん、もうよくご存知でしょうが、これ推理小説です。
ぼくは、よく知っていませんでした。
この本を開くと、「じっくり本を読む」ということを思い出します。
そう、じっくりと楽しむ本であります。
落ち着いて、ゆっくりとページをめくる秋の夜長という感じを楽しめないものは、さっさと去れ、重たい本だから、無理に読み続けようとしても手首が疲れるだけだぞう、という作者の主張が十分感じ取られます。
どこに?
初っ端のプロローグです。一番の曲者は。
1300年代の始め頃のヨーロッパとカトリックの状況の説明が書いてあります。
これ推理小説、ホームズ物です
この作品は、殺人事件等の犯人探しを扱っており、形式も二人称、シャーロック・ホームズの活躍を描くワトソンの記述と同じスタイルで書かれています。
記述者アドソはフランチェスコ会の修道士バスカヴィルのウィリアムの弟子です。
で、アドソによって活躍を記述されるのは、彼の師匠ウィリアムです。
ウィリアムは、シャーロック・ホームズ同様鋭い推理を披露して他人をあっと言わせます。
全くホームズを14世紀のイタリアに再現した物語です。
でもね、すごく読みにくい
それならエンタテイメント冒険推理小説で、気楽に読めるじゃない。
いいえ、謎そのもの、犯行の動機などは、当時のキリスト教の抱える問題を理解していなければ、読者の中では成立し得ません。
キリスト教と笑い。
キリスト教の異端。異端者はどうなるのか。
主人公の所属するフランチェスコ会とはどういうものか。フランチェスコ会と法皇庁との対立。
等々、それらと、その時代のヨーロッパについて、ある程度の歴史的な知識がないと、この謎と対立は理解できないのです。
そのためにあの読みにくいプロローグがあります。
嫌でも、そこをちゃんと読まなければなりません。
基本的に説明なので面白くありません。
人の名前、地方の名前がたくさん出てきて、みんなカタカナなので、読んでいてグチャグチャになります。
はっきり言って、歴史資料を地図付きで読んだ方が楽です。
仕方ないので、ぼくはノートを取りながらこのプロローグを読みました。
腹立たしい行為でしたが、そのおかげで理解することができました。
小説として提供しているものが、ノートを取りながらでないと内容を理解できないというのはおかしいです。
しかし、その困難は、ぼくが日本人だからということも大きく影響しているんでしょう。
キリスト教徒でもありませんしね。
でね、主人公であるウィリアムの旅の目的、北イタリアのベネディクト会修道院に何故ウィリアムと弟子(記述者)のアドソが行かなければならなかったのかということも、ちゃんと勉強しないとわからないのです。
それは無いやろう。ラングドン教授ものを読んでみろ
そう言いたくなります。
なんで、こんなに辛い思いをして、小説読まなければならないんでしょうか?
いろいろ小難しいことを背景に使っているラングドン教授シリーズ、ダン・ブラウンの作品は、こんなに読みにくくは無いじゃないですか。
ということに気がつきました。そして、途中で読むのやめました。
小説を読めれば良いんです。
矛盾を感じたりせずに、なんか分かっているような気分になり、小説を抵抗なく読めれば、それで良いんです。
ちゃんと勉強しなさい、ちゃんと理解しなさいって強要せずとも、小説世界に入らせてください。
代わりに、ツタヤでシニア割使って「薔薇の名前」タダで借りてきました。
映画の方は、暗いタッチではありますが、素直にストーリーを楽しめます。
ただ、難しいことはスルーしてますので、原作を途中まで読んでおくと、基礎知識が仕込めるので、より楽しめます。
しかし、この小説、ベストセラーなんでしょ。
日本人以外には、それほどの困難がないのでしょうね。
実は、始めのあたりを乗り切れば、後はどうにかなると思います。
ぼくが読むのをやめたのは、腹が立ってきたというのが理由です。
もし、まだ読んでなくて、読もうかなと思ってらっしゃる方がいるなら、読んでください。
きっと、面白いです。
新たな興味
ぼくは、高校の時に歴史が得意でした。
そう、勉強しなくても点数が取れる科目です。暗記物は嫌いなので、年月などはダメでしたが。
そのぼくが、ふと気がつけばヨーロッパの歴史をあまり知らないのです。
神聖ローマ帝国、オーストリア帝国、ハプスブルグ家等、あまり知りません。
宗教革命とか知ってますが、カトリックとヨーロッパの政治とか権力の関係なんかは、あまり理解してません。
でも、この「薔薇の名前」読むと、その辺りの理解が必要で、まあ、この小説の中で手に入れる訳ですが、きちんとこの辺の歴史を勉強してみようかと考えています。
とりあえずウィキのお世話になっていますが、なんか適当本を探してきましょう。