「二宮くん、極道の行く道はふたつしかない。右へ行ったら三途の川、左に行ったら酒池肉林や。けどな、三途の川に行きあたっても、裸の姉ちゃんが泳いでることがあるんや」
はい、疫病神シリーズ最新作、今年の6月に出たばかりの「泥濘」、これ「ぬかるみ」と読みます、えげつなく面白いです。
このシリーズでも出てきますが、他の作品で黒川博行の描く大阪の警察は、かなりヤバく、最近の大阪の警察をめぐるあれやこれやについて、「そうやろうなあ」と簡単に納得してしまうところが怖いです。
さて、建設現場にはヤクザや企業舎弟がまとわりつき、これにより建設会社は大きな損失を被るので、暴力団対策が必要。毒をもって毒を制する。ヤクザを使ってヤクザを抑える対策を「前捌き」と呼び、略してサバキと言う。
主人公の二宮啓之は、亡くなった父親が暴力団二蝶会の幹部だったことで、暴力団との繋がりがあり、建設コンサルタントと称して、このサバキを生業としているヘタレな半堅気。
そこへ、前作「喧嘩」で破門が融けて、二蝶会に若頭補佐として復帰がかなった喧嘩イケイケのヤクザ桑原保彦が、新聞記事の切り抜きを持って訪ねて来た。
さて、疫病神は桑原なのか二宮なのか、疫病神シリーズ第7作の始まりです。
今回のシノギのネタは、歯科医院による健康保険診療報酬詐欺に端を発し、老人ホームの乗っ取り、オレオレ詐欺。
相手は、暴力団を手先に使う警察OB会、手強そうですね。
例によって、二宮・桑原コンビの会話のやりとりは絶妙、関西お笑い芸人並。
二宮のヘタレぶりにはますます磨きがかかって、絶好調。
しかし、二宮はいきなりの拉致袋叩き。
そして、桑原は銃撃を受けて心肺停止・・・
おい、シリーズ終わっちゃうじゃないか!!
終わっちゃいけない、今、このシリーズが日本一面白いんだから!!!
と叫びながら最後まで一気に読んでしまいます。
これ読まなきゃ。
あ、皆さんのために電子書籍版のリンクも張っちゃいましょう。
そうそう、このシリーズ、スカパーBSテレビで二宮を濱田岳、桑原を北村一輝が演じており、ぼくは小説読んでも、桑原は北村一輝の顔が浮かんでいるのですが、今回、そう思っていたら、いつのまにか違う顔になっていました、どういう訳かの長瀬智也。
やると似合いそうな気がします。
二宮は、濱田岳よりもっとヘタレで小物っぷりのきついのが良いと思います。