福井の駅は西口が表玄関のイメージです。ちょっと前までは西口側を「駅前」、東口側を「駅裏」と呼んでました。
その西口に向かってまっすぐにぶつかる道路があります。
駅の西口を出て、この道路を東に向かってちょっと進むと旧国道8号線との五叉路の交差点。
今は信号交差点になってますけど、ぼくが子供の頃は、この交差点はロータリーでした。
ヨーロッパなんかによくあるやつですね。
正直、五叉路だと信号よりもロータリー方式の方がわかりやすいような気がします。
で、現在、この交差点の東北の角に福井銀行の本店が、そして西北の角に繊協会館が建っています。
むかし福井市は繊維の街でした。繊協会館は、繊維業者の組合の会館なんです。
ぼくが小さな子供の頃は、この繊協会館はまだ存在しておらず、この場所はただの原っぱで、周りを背の高い木製の壁で囲われてました。
この背の高い木製の壁にとても大きな映画の看板が付けられてました。
007シリーズのショーン・コネリーの顔が大きく描かれていたのや、「ウェストサイド物語」のジョージ・チャキリスのV字に足をあげたダンスのポーズが描かれてたのを覚えています。これ全部手描きの看板です。
それから、あの頃はフランス映画なんかもよく上映されてました。アラン・ドロンの顔なんかも大きく描かれた看板がありました。
2階くらい、あるいはそれ以上の背の高さの看板です。あの大きさの看板を手で描いて、出演してる俳優の顔に似せるってのは大した事でしょ。
街々に大きな似顔絵が得意な看板屋さんがいたって事なんでしょね。
すごいですね。
洋画だけじゃなくて日本映画の看板も立てられてました。
その看板の近くに映画館が3軒ほど並んでいたところがありました。その中に大衆館という映画館があって、本当に大衆的なチャンバラ映画を掛けてたんです。
毎週続き物みたいなやつとか。ぼくは旗本退屈男が西洋風の化け物みたいなのと戦ったりするのや、怪傑紫頭巾とかをおじいちゃんに連れられて見に行ったのを思い出します。
ま、とにかくチャンバラ映画の大きな看板も立てられてました。
大きな映画の看板てのは、福井だけじゃなくて新宿駅東口を出てすぐの線路沿いに立てられてたのも覚えてます。50年くらい前ですけど。
今でもあるのかな?
映画にパワーがあった時代があったんです。
そのころは福井の街にも、日本にも活力があったですね。
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