若い女の子とそれより頭半分以上背の高い、やはり若いと思われる女の子が一緒に歩いていました。
「若いと思われる」と微妙な言い方なのは、その背の高い子の着ているものが変なんです。
薄い黒っぽい生地に何色も使った複雑な模様が描かれている長袖のブラウスを着ています。たぶん頭からかぶりになっているのだと思います。よくお婆ちゃんあるいはおばちゃんが着ているやつです。
その下に黒いペラッとしたワイドパンツを履いているのですが、ちょっと微妙に丈が足りません。
靴はちょっと汚れた黒いスニーカー。
足が長くてスタイルが良いのですが、歩き方に色気が全然ありません。
髪はセミロングのボブ。肩につくかつかないか。
あの服は、お母さんかお婆ちゃんのを借りてきたって感じ。
歩道を歩いている彼女たちをゆっくりと追い抜きます。
かわいい、あどけない顔に真っ赤な口紅。
ものすごく可愛いです。若い人向けの週刊誌のグラビアに載せたいくらいです。
話しながらニコニコ笑っています。
道の向こうに友達がいるのに気がついて、笑いながら手を振りました。
この子は高校生なのか、もしかしたら中学生かもと思っていたんです。
その子が手を振った先を見ます。
おお、制服姿、あれは中学生。
中学生です。
福井では中学生はまだ子供です。
背の高い中学生が、お化粧してお婆ちゃんかお母さんの服を借りて着て、くつはスニーカーしか持ってないので黒いのを選んだんです。
ぼくが信号待ちをしている間に、その子は友達と話をしながら、ずっと笑顔で歩いて行きました。
家内は車の中で「可愛い、可愛い」を連発していました。
ほんと可愛かったんですよ。