十年ほど前に、たぶん十年以上前だと思うけど、プラチナ万年筆という会社がプレッピーという格安万年筆を出しました。
ペン先はステンレスあるいは鉄で、本体はプラスティック。確か200円ほどで売られてました。
安いし、この製品用にいろんな色のインクカートリッジもあったのです。
万年筆は、さまざまな筆記具の中でもランニングコストが一番安いと、ぼくは思ってます。
それでもって本体が安かったら、素晴らしいでしょ。
黒、ブルーブラック、赤の基本色は当然として、紫や黄色、グリーンとかいろんなインク色ごとに本体も買っちゃったりするのも気楽です。
しかしながら、プラスティックてのは破れやすいんです。
特にキャップにヒビが入ると、もうキャップとしての用をなさなくなります。
ま、200円ですから、割れたら新しいのを買えばいいのですけども、それまで使っていたのを捨てるというのも気が引けます。
調べてみると、プラチナ万年筆は、胴体が金属製の千円の万年筆も発売してました。
このペン先というかペン先とインクカートリッジをブッ挿す部分の一体が、200円のプレッピーと同じものなんです。
金属製の胴体は破れませんし、万が一ペン先部分あるいは筆記機能部分が具合悪くなれば、200円でプレッピーを買ってその部分だけ取り替えればいいのです。
ということで、ぼくはその千円のを、黒、ブルーブラック、赤用に3本買って、何年も、十年以上使っているのです。
プラチナの良いところは、インクの裏抜けがかなり少ないということです。
安物の、100均で買うノートの紙にでも万年筆で書き込むことができます。
そんなんで、この安い万年筆を愛用してきたのですが、先日、このシリーズの少し太い字が書けるペン先も2つほど持っていることを思い出しました。
太い字といっても、実際は中字です。普段使っているのが細字なのです。
で、探してみると古いインクがカパカパに乾いた中字のペン先が2つ出てきました。
これらのプラスティック製の本体も、もちろん付属しています。
きれいに洗ったジャムの空き瓶に水を入れて、ペン先を放り込むと、少しずつへばりついたインクが溶け出します。
ある程度水につけておいたのを取り出して、流水で何回も洗って、再び水につけるというのを繰り返し、それから乾燥させると、新しいインクカートリッジを挿して文字を書くことができるようになりました。
実は、昔から文具店を営んでいる馴染みの店でプラチナのインクカートリッジを買おうとすると、店主の爺さんが「古いのしかないけど。もう箱から出してビニール袋に詰め直したのしか置いて無い」と言うのです。
暇つぶしと昔仕入れた商品をポツポツと売っているような印象のその店は、もしかしたら新規の仕入れをほとんどしてないのかもしれません。
それで良いよと言うと、奥から20本ずつビニール袋に入れたインクカートリッジを出してきました。
ぼくは、黒とブルーブラックを買いました。
主人が口にした値段は、普通のものよりだいぶ安かったです。
そんな買い物を2回くらい繰り返しました。
で、ある日、カートリッジの中のインクが固まり出してカートリッジの内壁にへばりついているものがあるのを発見します。
と言うことで、同じ黒でも、あるいはブルーブラックでも、細字と中字の2本にそれぞれカートリッジを挿して、気前よくインクを使ってしまおうと考えたのです。
で、先ほど書いた古いペン先の洗浄を行っています。
普段使っている細字より、中字の方が気分よく使えてうれしいです。