昨日、「伊達騒動の真相」という本を読むと書きました。
実際読んでました。
しかし。ちょっとした休憩時に、一緒に図書館から借りてきた「カーテン」を開いてみたら、最後まで一気に読んでしまったのです。
ぼくは以前から。この「カーテン」を読んでみようと思ってたんです。
1975年出版で、日本では何年に出たのでしょうか。早川書房のクリスティー文庫では2004年だとか。
とにかく名探偵エルキュール・ポアロの本当の最後の事件なんです。
ただし、アガサ・クリスティーがこの作品を書いたのは、もっとずっと早く、1943年だそうです。
先に最終作を書いておいたのですね。
最後はこうしようと考えながら、ポアロのシリーズを書き続けていたんですね。
ちょっとだけ作品の紹介
第1時世界大戦でベルギーがドイツに占領され、多くのベルギー人たちがイギリスに難民として渡ってきました。
我らがエルキュール・ポアロもまた、このベルギーからの難民の一人でした。
奉仕活動家であるスタイルズ荘の主人のエミリー・イングルソープは、幾人かのベルギー難民の世話をし住む家も与えました。
エセックス州のスタイルズ荘のある小さな町で、スタイルズ荘に遊びに来ていたヘイスティングズ大尉とポアロは再会しました。二人は以前大陸で知り合っていたのです。
そして、ポアロは恩人のエミリー・イングイルソープの殺人事件を捜査し解決します。
その事件が、イギリスにおける名探偵ポアロの最初の活躍です。
もちろん、この「スタイルズ荘の怪事件」はポアロシリーズの第1作として1920年に発表されています。
そして、ポアロの最後の事件は、数十年を経て再びスタイルズ荘が舞台となります。
今では、スタイルズ荘はゲストハウス、カジュアルな旅館としてラトレル夫妻が経営しています。
第1作の「スタイルズ荘の怪事件」以来、ポアロの友人として何作かに語り部として登場してきたヘイスティングズは、スタイルズ荘に逗留しているポアロから呼ばれて列車に揺られているというのが冒頭のシーンです。
さて、ポアロやヘイスティングズは何歳になっているのでしょうか?
この疑問には、あまり真剣に取り組まない方が良さそうです。
ヘイスティングズは「ゴルフ場殺人事件」で知り合ったシンデレラと名乗る魅力的な女性と結婚し、アルゼンチンで牧場を経営していました。しかし、その愛する妻は、すでにこの世を去りました。
ヘイスティングズにも子供がいます。姉の方はすでに結婚していますが、末娘のジュディスは20代の前半で理学士の学位を持ち、医者にして科学者のフランクリン博士の助手として浮いた話もないまま研究に没頭しています。
ジュディスは意志の強い娘ですが、美しく、ヘイスティングズはこの末娘をとても愛しています。
スタイルズ荘で再会したポアロは、手足の自由を失い、車椅子に乗り介護人の助けを受けながら生活していました。
しかし、彼の灰色の脳細胞は相変わらず素晴らしい働きをしているのです。
「私は、ここに殺人犯を捕まえに来たのです。君と私で、ヘイスティングズ、また犯人狩りに出るのです」
どんな犯人なのか
ポアロは、ヘイスティングズに割合最近の殺人事件の記事を5件見せます。
どの事件も犯人が明らかになっています。
妻や夫、娘、姪など、身内がそれなりの辛い理由に基づいて犯した悲しい話です。
しかし、ポアロは、この5つの事件は、ある一人の人物による犯行だと断言します。
その人物Xは、今、このスタイルズ荘にいる。
したがって、近いうちにこの家で殺人事件が起こるとポアロは断言しました。
スタイルズ荘にいる人たち
ポアロは、その犯人Xの目星をつけていますが、その正体は明かしません。
ヘイスティングズは人がいいので、犯人の名前を知ってしまうと、本人の前で顔に出してしまうからという理由からです。
さて、現在スタイルズ荘にいる人たちは、ポアロとヘイスティングズ以外で
- フランクリン博士夫婦 ヘイスティングズの娘ジュディスの雇い主夫妻
- ジュディス
- 健康を損ねているフランクリン夫人バーバラの世話をしている看護婦のクレイブン
- ウィリアム・ボイド・キャリントン卿 インドで行政官を務めて大きな業績をあげた準男爵
- スティーブン・ノートン おとなしい性格の愛鳥家
- アラートン 女たらしの色男
- エリザベス・コール 30代半ばの美しい女性
- ジョージ・ラトレル夫妻 現在のスタイルズ荘のオーナー夫婦
- カーティス ポアロの世話係
ヘイスティングズは、体が不自由なポアロの手足と耳目となって、この中の一人である犯人Xと対決していくのです。
ポアロとヘイスティングズの年齢問題
第1作の「スタイルズ荘の怪事件」の段階で、ポアロは警察を退職している年齢でした。
その時ヘイスティングズは30歳。
時の流れを勘案すると、ポアロは超長生きの化け物になるという意見もあります。
一人前の末娘がいるヘイスティングズも、かなりいい歳のはずです。
しかし、そういうことを考えてはダメなのです。
この作品もアガサらしく、いくつかのロマンスが仕込まれています。
最後に、ポアロは、ヘイスティングズに新しいロマンスを勧めます。今すぐ彼女の元へ行きなさい。君はまだまだいけるよ、なんて。
だから、年齢の計算はしてはいけません。
ぼくは、この作品をどう言えばいいのか、わかりません。
でも、やはり絶対に読んだ方がいいと思います。
なんせ、最後の事件なのですから。