ぼくは、作者の垣谷美雨さんを知りませんでした。
この本を図書館で借りたのは、単純にタイトルのせいです。
そうボブ・マーレイの「No Woman No Cry」を連想しちゃったというか、それのもじりですね。
主人公は、32歳の独身女性。「農ウーマン、農ライフ」の方が、より良いような気がしましたが。
大学を出て就職した中堅の住宅メーカーが倒産し、その後転職先が見つからず派遣で働いていた主人公水沢久美子は32歳。実は最初に就職した会社に勤めていた時から修と同棲している。
しかし、ある日派遣切りにあい仕事を失い、そして同棲相手には新しい恋人がいて、その女と結婚するので久美子とは別れると告げられる。
そう、仕事と恋人と住むマンションを一気に失ったのです。
と言うことで落ち込んでいたのですが、テレビで一人で農業に取り組んでいる自分と同じ年齢の女性を見ました。
そうだ、農業をしよう。自分一人で、テレビのあの女性と同じように。
と言うことで、番組で見た女性と同じように農業大学校で半年間の土曜日だけのコースに申し込んだのです。
そういうきっかけで農業を志しますが、現実は厳しい。
貧乏暮らしで貯金も心もとない。
結婚しなさいと勧められて婚活をしてみたりしますが、なかなかうまく行きません。
と言うような内容の話です。
NHKあたりでドラマにしそうな内容で、もしかすると実際にドラマになっているのかもしれない気もします。
面白いです。
なんでこれを面白いと思うのか、どこが面白かったのか。
中堅企業に就職して中流に入ったけど、そこからこぼれおちると、もう元のポジションに戻るのがひどく難しくって、そういう派遣でやっている独身女性がアパートを借りるのってとても大変で等、独身女性に立ちはだかる社会的な困難。
要するに主人公が困難に出会い、そこから努力と人の縁でなんとか這い上がってくるという、鉄板の物語パターンをきちんと作り上げてるから面白いと感じるんですね。
以前読んだ新川帆立さんの「元彼の遺言状」で、伏線の回収の丁寧な律儀さに感心したのですが、やはりこの垣谷美雨さんもきっちり物語パターンにはめてきます。
こんなこと言うと、現在は問題になるんでしょうけど、女性の真面目さみたいなものを感じてしまいました。