〽︎砂山のすうなあを 指で掘ってたら〜まあっかにさあびたジャックナイフが出てきた〜 俺は待ってるぜー
前から観たかった石原裕次郎の「錆びたナイフ」と「俺は待ってるぜ」が、Prime Video にあるのを発見しました。
観ました、二つとも。
両方、相手役は北原三枝。スタイルいいし、背もあるし、裕次郎と並ぶとさすが夫婦、お似合いです。
昔、学生の頃、テレビの深夜劇場で観た覚えがあるのですが、かなり記憶が薄れてました。当時は、白黒テレビ。これらの映画も白黒の世界で観ました。
さて、今日観たのですが、二作とも白黒映画でした。昔の印象通りの画面。
こういう作品は、年数が経っており、とても有名な作品なので、今更ネタバレても全然問題ありませんので、そこんとこよろしく。
錆びたナイフ
これね、冒頭で宍戸錠が殺されるシーンは、とてもよく覚えていました。
え、ここで死んじゃうの?と、ちょっとショックだったのです。だって、エースのジョーなんだぜ。
舞台は、西日本の地方都市、宇高。
街は、ヤクザの勝又(杉浦直樹)によって仕切られています。検事は、何とか勝又を有罪にしたいのですが、捕まえても証拠不十分になってしまいます。証人が出てこないのです。
5年前に自殺した市議会議長の西田は、実は他殺で犯人は勝又だという投書が検事のところに届きます。
書いた本人は、当時勝又に対抗するヤクザの組にいた者で、殺人現場を3人で見たと書いてあります。
東京にいる宍戸錠からの投書なのです。
宍戸錠は、同時に勝又にも連絡をとって、ゆすります。金を貰えば証言しないと。
そして、宍戸錠は電車に乗って宇高に来ますが、勝又の手下たちによって列車の中で殺されます。
さて、市議会議長の西田の殺人現場を見たのは、宍戸錠の他は、石原裕次郎と小林旭。
さっき書きましたように、宍戸錠は冒頭で殺されますし、小林旭は石原裕次郎の弟分。渡り鳥シリーズではとてもカッコいい小林旭ですが、裕次郎と並ぶと小柄に見えてしまいます。この当時の小林旭と宍戸錠の扱いは、こういう感じだったのですね。
裕次郎は、恋人がレイプされて自殺してしまって、その犯人をナイフで殺して5年間服役して、出所後バーを経営しています。弟分の小林旭は、このバーを手伝って、二人とも堅気として生きています。
北原三枝は、殺された市議会議長西田の娘です。父親の友人で市会議員の真野が親代わりになってくれており、今はマスコミで仕事をしています。
検事は、裕次郎に証言をさせようとしますが、裕次郎はもう昔のことは思い出したくありません。しかし、自殺したと思っていた父親が、実は殺されていて、もしかすると裕次郎がその現場を見ていたかもしれないと思うと、北原三枝もじっとしていられません。
つい勝又からの金を受け取ってしまった小林旭、レイプされて殺された自分の恋人を襲った犯人は自分が殺した男では無く勝又だと知ってしまった裕次郎。そして父親の死の真相に迫ろうとする北原三枝。
小林旭を手にかけようとする勝又、そして自分の恋人をレイプして死に追いやった憎い仇の勝又と対決しようとする裕次郎。
検察事務所に紛れ込んでいる裏切り者のせいで、証言しようとした小林旭は殺されてしまいます。
でも、ついに勝又は逮捕され、裕次郎の証言で有罪に持っていけそうです。しかし、さらに大物の黒幕が勝又の上にいたのです。
誰が黒幕なのか?
そして最後に裕次郎は、とうとうその黒幕に手が届くのです。
あああああ、ニホンノワール。面白いです、良くできた映画です。
小林旭が殺されるシーン、ケビン・コスナーの「アンタッチャブル」を思い出してしまいました。それ以外でも、あの映画を思い出すのです。もちろん、この映画の方がずっと古い作品ですよ。
俺は待ってるぜ
裕次郎は横浜の港近くで小さなレストランを開いています。
彼が待っているのは、1年前にブラジルに行った兄からの連絡です。便りが届き次第、裕次郎もブラジルに渡るつもりなのです。
ある雨の夜、裕次郎はずぶ濡れで海を見ている女性を見つけます。北原三枝です。
彼女の様子がおかしいので、裕次郎は自分のレストランに連れて帰ります。
実は裕次郎は、元プロボクサー。有望だったのですが、喧嘩で相手を殴り殺してしまい、ボクサーを辞めました。
日本を捨ててブラジルに新天地を求めるのは、そのせいなのでしょうか?
そして北原三枝は、元オペラ歌手。喉を壊してしまい、マイクを通して歌うことしかできなくなりキャバレーの歌手になっています。
ずぶ濡れで海を見つめていたのは、キャバレーの空き時間に経営者の弟が抱きついてきたので、思わず頭を殴り、殺してしまったと思い込んでいたからです。キャバレーの経営者二谷英明は、彼女を連れ返しにレストランに乗り込んできました。二谷英明も元フライ級のボクサーなのです。
ブラジルに行った兄さんからは何の連絡も来ません。
裕次郎が出した手紙は、全て宛先人不在で帰ってきてしまいます。
調べていくと、兄さんはブラジル行きの船に乗っていないのです。
そして、警察で1年前からの資料を見せてもらっているうちに、バーで殺された死体の写真が出てきます。それを見た裕次郎は大きなショックを受けるのです。
はい、兄さんは殺されていました。
関係者を探し歩く裕次郎。
ついに裕次郎は兄さんを殺した犯人にたどり着きます。二谷英明。
これまたニホンノワール。
なんかね、設定が良いでしょ。港の小さなレストランで兄貴からの手紙を待つ石原裕次郎。不幸な過去を引きずりながらも裕次郎に惹かれていく北原三枝。
カッコいいのです、雰囲気が。
その雰囲気に浸りこむ映画なのです。
そうそう、言葉遣いは違いますが、同じタイトルのチャンドラーの短編がありました。
このタイトルがいいのです。
そして、2本とも北原三枝がすごく良いです。ストーリーは色々ほつれがあるのですが、こういうのは雰囲気で見るのです。