はい、いつもながらAmazonのPrime Videoの見放題で観てしまいました。1959年の作品。
もう一度言いますが、1959年の作品です。この時点では、あまりいろんなことに気を遣わずに映画を作れたということをご理解ください。
ギター一本持った男が、函館の街に流れてきます。
この港町は、秋津礼次郎(金子信雄が演じています)という社長と言うかギャングの親分が仕切っています。街のボスですね。
あ、函館市とそこの市民の皆さん許してください、なんせ1959年の映画なもんで。
このギターを持った小林旭が演じている男は、滝伸次と言います。
何か過去を持っているのですが、それは誰も知りません。誰も知らない街に流れてきたのです。
男は、函館に着くなり酒場の喧嘩に巻き込まれます。
喧嘩に強いです。それに目をつけた街のボス秋津は、滝に自分のところに来ないかと誘います。
秋津の事務所はキャバレーの2階にあります。お約束の設定ですね。上から店の様子を眺められるようになっています。キャバレーのママは、若い渡辺美佐子です。
好きなようにしていたいのです。
野宿するように小舟で眠る小林旭。
ひょんな縁で、お金持ちの娘の浅丘ルリ子と知り合います。
浅丘ルリ子は、ねぐらを提供すると言って小林旭を自分の屋敷に連れて行きます。
なんと、そこは街のボス金子信雄の屋敷でした。浅丘ルリ子は金子信雄の娘です。
と言うことで、小林旭は金子信雄の組織に草鞋を脱ぐことになるのです。
小林旭は、2年前に恋人を亡くしています。でも、彼女を思い出すと言うことはありません。だって思い出すと言うことは、それまで忘れていたと言うことです。
「俺は彼女を忘れることなんか無い。ずっと彼女のことを思っているからさ」なんてことを、函館山から街を見下ろしながら浅丘ルリ子に言ったりするんですよ。
で、ここで宍戸錠の登場。神戸から来たヤクザです。賭博と人殺ししかしない男です。
神戸の親分から言いつけられた仕事をするために函館に来ました。地元のボス、金子信雄に世話になります。
やがて、それを思い出します。
「お前は神戸市警のデカだった男だ」
ここで「市警」と出てくるところが、この時代の日活アクション。良いでしょう、なんかそういうテイスト。アメリカのハードボイルド映画のノリなんです。
そう、小林旭は宍戸錠の親分の雇った弁護士のせいで、職を追われた元神戸市警の敏腕刑事だった男です。
で、ガンマン同士の決闘が行われたりします。
はたまた、金子信雄の妹、中原早苗は兄の反対を押し切って海運会社を経営する男と所帯を持ったのですが、金子信雄は函館に来る観光客目当てにアミューズメントセンターを作る計画があり、その場所としてこの海運会社の社屋兼住宅のある土地が最適なのです。と言うことで、資金繰りに困った海運会社に金を貸し、そのカタとして、この土地を巻き上げる計画を持っていたりします。
まあ、あれやこれやのお約束のような要素で、孤独な影を持った元神戸市警刑事だった小林旭はゴタゴタに巻き込まれていくのですう。
面白いです。
先日ご紹介した「南国土佐を後にして」という映画で人気が出た小林旭で、日活はこの映画を作ったのです。これが当たって「渡り鳥シリーズ」が8本もできました。
小林旭は1938年生まれですから、この映画の時には21歳と言うことになるのでしょうか。
文句なしに小林旭はスターだなあと思ってしまう映画であります。