「東北が独立するという話です」と赤松利市氏がラジオ番組で言ったのが気になっていて、読んでみたいと思っておりました。
今までに「犬」と「らんちゅう」の2作を読んで、クセの強い作家だなあと思い、ちょっと気に入っていました。
不思議なことに、ネットで調べると福井市立の図書館にはこの本がいくつかある図書館ごとに存在し、どれも貸出はされていない状況なのですが、2カ所の図書館にそれぞれ行った折には、いつもこの本が棚に無いという状況が続いてました。館内で手に持っている人がいるということなのでしょうか、それが続いていたのが不思議です。
結局、ネットで予約を入れ、すぐに貸し出してもらえたのです。
表題の「アウターライズ」というのは、原因に基づいて名付けられた地震の種類です。
本文を読んでも、ぼくにはよくわかりませんでした。ネットで検索すると、このように書かれています。
2011年東北沖地震のようなプレート境界型巨大地震に続いて、沈み込む前の海洋プレート(アウターライズ)内で発生する正断層型巨大地震。
これは、元の文章をすごく縮めたものなのでものなので、もう引用とも言えなくなってます。元のをそのまま引用すると、むずかしくて読んでいて分からなくなってしまうので。
まあ、東北大震災の後に、プレート型地震がもう一度起きる。それは沖合のことなので地震被害は大したことがないけども、大きな津波被害をもたらしますということらしいです。
で、先の大震災の10年後に東北を大津波が襲うというのが、この話の発端です。
いろんな人たちの、それまでの人生と津波との遭遇が描かれます。
そして、その津波の後に、東北は独立するのです。驚くような制度を構築して。
読んだ感想は、「上手」というものです。
さすがに大藪春彦賞を受賞し、短い間に何作も書きまくっている売れっ子作家です。
この作品も着想が面白いし、ラストなんか感心してしまいました。
でも、なんとなく、クセの強い胡散臭い変なおっさんという感じが薄まっている感じ。
住所不定作家から先生へと境遇も変化しているんですもんね。
ちゃんとした作家です。当たり前ですね。