「15歳の男の子が拳銃自殺を図ったんやと」
散歩から帰ってシャワーを浴びてからパンツ一丁で水を飲んでいたら、家内が言いました。
「今の子はボーガンとか拳銃とか、やることが派手やな」
「そやけど、どっから拳銃持ってきたんやろ?」
「警官を襲ったんやろ」
「あ、拳銃のようなものって書いてある」
「そうか、ようなものってことはモデルガンかなんかかな?」
「11時半からニュースで言うやろからテレビ見よ」
と言うことで、テレビつけたのですが<拳銃のようなもの>の正体はわかりませんでした。
死なんでもいいのに。
そう思いましたが、考えてみると高校の時の友達が、大学に入ってから自殺したのを思い出しました。
高校の時に、友達三人と電車に乗って敦賀の海に遊びに行きました。
夏じゃなかった。
海水浴客はいませんでした。
ぼくらはボートを借りて海に出ました。
二人づつのりこんで、ボート二つです。
沖に向かって漕ぎました。
何も知らない子供だったぼくらは、岸からだいぶ離れたところの潮の流れに遭遇して慌てました。
流されているし、岸に向かって漕いでも全く岸に近づきません。
ぼくとペアになった友達は、しっかりした奴で、ぼくを励ましてくれます。
出発地点からだいぶ離れましたが、なんとか岸にたどり着きました。
大学受験を前にして、そんな事して遊んでいた時代です。
同じボートの彼は、確か京都大学に入り、ぼくは東京の大学に行きましたから卒業してからは疎遠になりました。
何年生になった時なのか、覚えて無いですが、そいつは自殺したと聞きました。
同じ大学に行ってる友達が教えてくれたのです。
なんでや?と聞きましたが、そいつも分からんとしか言えなかったです。
なんか訳がわからん。
そんな気持ちしか湧いてこなかったです。
訳がわからんのは、そいつの死んだ理由じゃなくて、知った人間が若いのに突然死んでしまったという事実の受け止めがわからんかったのでした。
え?という知り合いの死は、自殺で無くても、他にもあります。
十分歳をとってからの死は、受け止められるのですが。