車も読者も急には止まられへんのや。
「犬」読んだ勢いで、こっちも読んでしもうた。
「らんちう」って、勢いや勢い。
そ、金魚のらんちゅう。
読み出したら止まらない。
こんどは大阪じゃ無くて千葉が舞台。
帯に書かれた文句を書いてしまったら、こうなります。
「犯人はここにいる全員です」
110番、自首する6人。
全員のゆるやかな殺意が収束し、惨殺事件に昇華。
誰も予想できない真の動機と目的に、ただ震えるーーー
あなたは6人の独白に戦慄するだろう。
そして読後、理解した真実に驚愕する。
これね、経営が苦しくなったリゾート旅館の豚のような総支配人を従業員6人で殺してしまったという話。
豚のようなというのは、体型だけで無くて、根性も。
冒頭殺しちゃいます。
で、すぐに携帯で警察に電話して自首。
内容は、逮捕後の犯人それぞれの独白です。
で、犯人以外の関係者の独白も書かれてます。
何人もの独白だけで全編成り立っています。主観ですね、その人の目。
人って自分の思い込みと自分の都合だけでものを見ています。
一人称で、そいつの独白を書いていくというのは、結構おもしろいと思います。
何人もの独白を読んでいるうちに、ああ、人間の認識なんて・・・と思ってきます。
一つの悪意を、それぞれの人物の主観を晒して語らせて、主観だから思い込み、思い違いもあったりして、そうやって読者をたぶらかしながら描いていこうということでした。
面白いですよと単純に言って良いのか、ちょっと嫌な作品なんです。
赤松利市はクセになりますね。