子供の頃のように

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「必死剣 鳥刺し」 緊急事態宣言下でPrime Videoを観まくるシリーズ

またもやトヨエツです。

必死剣 鳥刺し

必死剣 鳥刺し

  • メディア: Prime Video
 

これ、豊川悦司がぶちゃむくれる前の映画です。

やはり背は高いのです。吉川晃司よりも大きそうでした。吉川晃司のセリフに「大きな男だな」というのがありまして、もしかしたら、それ台本に無くて吉川晃司の本音のアドリブかなと思いました。

 

面白かったのです。面白かったのは間違いありません。それでも嫌な映画でした。

観なきゃよかったと思いましたが、それでも面白い映画でした。

 

 

概要

豊川悦司・兼見三左ヱ門は、どこかの小さな藩の侍。

ある日、殿様の側室・れんこ(蓮子でいいのか、とりあえずこの字で)をいきなり脇差で刺し殺します。お城の中です。

 

奥さんを病気で失った兼見三左ヱ門は、打首も覚悟してます。

しかし、お沙汰は、お役御免、一年間の閉門、禄の減額。

屋敷の使用人は、女中の婆さん一人にして、後は暇を出します。

豊川悦司は、倉の中で一年間身をしまいました。

死んだ奥さんの姪、池脇千鶴豊川悦司の面倒を一年間見てくれました。

 

彼が殺した蓮子は、殿様の公務にも口を出し、財政逼迫の中浪費を続け、そのせいで領民も苦しんでいました。

藩の「お別家」(分家ということなのでしょうか?)吉川晃司も、藩の悪政に対して批判的でした。

そういう中での蓮子殺し。

 

一年間の閉門があけた豊川悦司は、家老の岸部一徳から再びお役復帰を告げられます。

今度は「きんじゅうとうどり」たぶん近習頭取でしょうか、いつも殿様のすぐそばにいる役です。

最愛の側室・蓮子を殺したのに。

 

実は、豊川悦司は剣の達人。

誰も観たことの無い「必死剣 鳥刺し」という奥義を持っています。

お別家の吉川晃司も新陰流の剣の達人。これが殿様の悪政を批判し、必ず殿様を殺しに来ると思われます。その時に殿様を守るために豊川悦司を常に殿様のそばにいる役に抜擢したと、家老の岸部一徳から告げられるのです。

 

果たして、ある日、吉川晃司は大刀を持ったまま、殿様のところへやって来るのです。

 

 

面白いのに嫌な映画

これもやはり豊川悦司は背が高すぎて、いちいち首をすくめないと鴨居にぶつかるので、時代劇大変です。

それでも、一つ一つの所作が、お城勤、それも殿様のすぐそばなので腰をかがめての足の捌きが、非常にそれらしくて良いです。

 

禁欲的で厳格な主人公。

昔からの作法通りの生活をします。黙って、叔父の面倒を見る池脇千鶴

これもやはり豊川悦司のそばにいると、時々子供が立っているみたいに見えてしまします。

でも、とても静かな二人の風情が、なんか良いのです。

 

最後の吉川晃司の登城のシーンの直前まで、とても静かな映画です。

豊川悦司、すごく頑張っています。

地味だけど面白い映画。

 

しかし、最後のシーンは、とても嫌なものです。

豊川悦司は、ここでもすごく頑張っているんですが。

 

ぼくは、もう一回観るの嫌です。

でも、もしあなたがご覧になってなかったのなら、観ると良いですよ。

 

 

嫌な映画だと思う理由。ここからはネタバレ

先に余計なことを書きますが、吉川晃司はカッコいいですね。

あの体格で天井からぶら下げた、頭の上のシンバルを蹴ってたんだからすごいです。

 

 

さて、豊川悦司は、大刀を持って殿様のところに迫ってくる吉川晃司の前に立ち塞がります。

お城の中だから、豊川悦司脇差しか差していません。

 

やはり剣の達人である吉川晃司は大刀、これに対し豊川悦司脇差で闘います。

見せ場ですね。

最後に吉川晃司を脇差で刺殺します。

その瞬間、襖がさっと開けられます。

刀を持った藩士たちを引き連れた家老の岸部一徳が現れます。

「見事!必死剣 鳥刺し 見事であった」

「いや・・・これは、ただの・・・」

お褒めの言葉に対して、ぶつぶつと口の中でつぶやく豊川悦司

そうです。吉川晃司をやっつけたのは鳥刺しという奥義を使ったのではありませんでした。

 

必死剣 鳥刺しという技は、ギリギリの技、これを使うときは、使う方もほぼ死んでいると言っていいでしょう、といった説明ではよくわからない技なのです。

 

実は、城の中で、殿様の寵愛を受けている側室を殺した豊川悦司の命を断つこともせず、1年間の閉門という軽い罰だけで、その後殿様の側近くに置くという扱いをしたのは、この吉川晃司対策のためです。

従って、役目が終われば切り殺すつもりだったのです、この家老と殿様は。

だって自分が寵愛した側室を殺されたことを恨んでたんですもん、このアホ殿様は。

 

「兼見三左ヱ門は乱心してお別家を殺めてしまった。皆のもの兼見三左ヱ門を打て」

岸部一徳は、かれのキャラ通りのセリフを言いました。

 

藩士たちは、見事に殿様の危機を救った兼見三左ヱ門を斬るのかよと、エエッと一瞬引きます。

それでも命令ですから、みんな豊川悦司に斬りかかります。

これに対して、できるだけ藩士たちを傷つけまいとしながら、豊川悦司は闘うのです。

このシーン、すごく良いです。

なんか、達人ぽいのです。

 

斬りかかってくる刃をさっと避けて、刀を握っている相手の手首を抑える豊川悦司

体の大きさをあまり感じさせない俳優ですが、このシーンは大きさと力強さを感じさせます。

この映画、トヨエツ、本当に一生懸命でした。良かったですよ。最初から終わりまで。

 

相手を傷つけないようにして押さえ込む、その後ろから狙ってくる他の藩士

 

でね、遠慮しながら闘うし、多勢に無勢だから豊川悦司は滅多斬りになります。

最後の力を振り絞って、岸部一徳と殿様がいる方ににじり寄ります。

しかし、後ろから、首の辺りから下向きに、体中央に向かってずっぷりと刀を刺しこまれて、突っ伏します。

「絶命しております」

確認した藩士が報告しました。

そうかと岸部一徳豊川悦司に近づきます。

その瞬間、豊川悦司の最後の気合いとともに岸部一徳の体を刀が刺し貫くのです。

必死剣 鳥刺し。

 

そして豊川悦司は絶命しています。

必死剣鳥刺しを使う時は、私もほぼ死んでいるという状態。

あの説明のとおり、鳥刺しは最期の技でした。

 

 

なんか嫌な結末でした。

侍の哀しさみたいな。

 

もっと嫌なのは、ぼくはこの時気がついたのです。

あの蓮子もまた、殿様に命じられて憎まれ役を演じていたのではないかと。

もちろん悪いのは、全てあのアホ殿様。

わがままでアホなことを思いつき、その実行は全て悪辣無比の側室蓮子の仕業だとしていたのではないかと。

ああ、嫌だ。

救いようのないアホさ加減。

これが、なんとも言えない嫌な後味となりました。