ものすごい昔話ですが、若い頃エジプトに行ったことがあります。
一連のアラブ出張の流れで立ち寄ったのです。
クエートから(だったと思う)飛行機に乗ってエジプトに入りました。
ちょうど国に帰るエジプトからの出稼ぎ連中と同じ飛行機でした。隣にエジプト人が座っていたです。
窓からピラミッドが見えて、「あ、ピラミッドだ」と言ったのですが、隣のエジプト人の反応は「?」って感じなので、ああ、この人たちは「ピラミッド」とは言わないのだなと勝手に思いました。
空港の中は、ものすごく混んでいました。
なんでしょうか、出稼ぎ連中みんながいっせいに帰国する時期だったのでしょうか。
列ができて、進行がすごく遅くてイライラして、ぼくを押した後ろのエジプト人に「俺を押すな」と怒鳴ったりしてたら、一緒に動いていた取引先の人がどこかで見ていたのか、後で、英語で喧嘩するのはすごいねと言われました。やはり、知り合いがそばにいなくても上品にしていないといけないなと反省。
取引先の現地の駐在員の人が、必要な場所に連れ回してくれます。
「食べ物に注意してください」といきなり言われました。
不潔だと言うのです。
そこそこ良いレストランでしか食事をしませんでしたが、駐在員の人は、かなり注意深く食べているのがわかりました。
出されたパン、バターロールを半分にちぎって、その断面から中をほじって食べていくのです。
あまりの行儀の悪さに、ぼくは彼のパンから目が離せませんでした。
「彼らは素手でパンを触ってますから、表面が不潔なんです」
真面目な顔で説明がありました。
さすがにぼくは、その店でそう言うことは出来ませんでした。一流店でしたから。
普通に食べても、帰国するまで腹は大丈夫でした。
その時に、ナイル川で船に乗った憶えがありますが、どんな船だったのか記憶がありません。
川の岸辺に葦が生えているのを見て、あああれがパピルスと思ったのだけ憶えています。
カイロの中だけの簡単な観光船です。
日本人観光客が新型コロナウイルス感染をしたナイル川クルーズ船てのをニュースで見た時、映画の「ナイル殺人事件」の船みたいだなと思いました。
ぼくが乗った観光船とはだいぶ違う。
きっとナイル川をずっと上っていくのでしょう。
まさかそんなところでウイルス感染すると思わないですもんね。
アガサクリスティも、あのクルーズ船に乗ったのでしょうね。
オリエント急行も乗ったのでしょうか。
そうやって旅行して、いろんな乗り物に乗って、あんな作品をいくつも思いついてドンドン書いたってのは、すごいですね。
ところで、今朝起きた時に、昔会った、あのカイロ駐在員を思い出しました。
あのように注意深くしていればウイルス感染もしないのでしょう。