この前、ちょっと書きましたが、今毎日テレビに出演している感染症の専門家、白鴎大学の教授、岡田晴恵先生は、児童向けファンタジー小説を書いています。
彼女が書いた「病気の魔女と薬の魔女」シリーズの中の「ローズと魔法の地図」を読んでしまいました。
なんとなく「ハリー・ポッター」の匂いが読む前から漂ってきますね。
ワルプルギスの魔女学校の生徒であるローズと、その友達ら「小さな魔女」は、「大きな魔女」のところで勉強し修行することになります。
どうやら大きな魔女は、人間に疫病をもたらす病気の魔女と、それを治療しようとする薬の魔女に分かれるようです。
で、ローズは「ドジで間抜けな」とみんなから認識されています。
さあ、今年はどの「大きな魔女」のところで、どの「小さな魔女」が修行することになるのでしょうか。
という前提。
この本のだいたいの内容
病気の魔女は、どのくらいの周期なのかは分かりませんが、持ち回りで、それぞれ得意な伝染病を流行らせます。
今回は、とうとうインドに住んでいるコレラの魔女に順番が回ってきました。
コレラの魔女は、ワルプルギスに出向き、今年、自分に一世一代の大疫病を流行させる順番が回ってきたので、とびきり優秀な助手が必要だから、「小さな魔女」を選ぶ権利を一番にくれと言います。
これが認められ、コレラの魔女は一番優秀なアンを選んで、インドに連れ帰ります。
ローズはパリのセーヌ川の辺りの施療院の魔女ホスピスの弟子になります。
ローズの友達のサラは、ブタペストのかまどの魔女の助手になり、料理を勉強します。
ということで、コレラの魔女は、コレラのコンタギオンをパリの水に混ぜて、コレラを大流行させます。
「コンタギオン」というのは、伝染病の種みたいなものです。この話の場合は、コレラ菌。
さすがに岡田晴恵先生、伝染病の医学的な説明や、用語の説明をお話に混ぜてきます。
コレラの魔女と一緒にパリに来たアンと、施療院のローズは、伝染病コレラの調査を始めます。
感染経路、コンタギオンの発見、発病する人と発病しない人の違いの理由、地域的な違い、等々、ああ伝染病への取り組みは、このようにして調査いくのかと言うことが、お話の中でわかりやすく示されます。
そして、水だ、水に菌が混じって感染していくのだと、コレラの正体が明らかにされていくのです。
ほとんど全ての漢字にルビがふられてますが
口にとっても甘い児童向けファンタジーの中に、感染症対策が分かりやすく解説されていくのです。
ちゃんと「お話」としても成立しています。
これは今の時期、読んでみるのもいいと思います。
この内容を普通の本で読まされると、たぶん途中で寝ます。
子供向けの糖に包まれたこの本、シリーズは、大人のあなたも読んでみる値打ちがあると思います。
たぶん、そういうつもりで岡田晴恵先生は、このシリーズを書いたのだろうと思います。彼女の趣味も強く反映していますが。
ちなみに「小学生から必読!」と書かれた帯には、
10年以上前の、連日のテレビ出演でダメージを受ける前の岡田晴恵先生のホワンとしたポートレートが貼られています。
帯に書かれた文句はこういうものです。
「ウイルス研究者 岡田晴恵書き下ろし」
「病気の医学、薬の科学の歴史をえがく物語(ファンタジー)」
「ローズと病気の魔女たちの戦いにハラハラドキドキしているうちに病気の原因や治療や予防のことがハッキリわかってくるんです。」