子供の頃のように

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「三体」について2、たぶんネタバレでないと思うけどのバージョン

再びしつこく「三体」について書いてしまいます。

前回の記事はこれ

 

このバージョンを書いた意図というか理由

何をもってネタバレというか、厳密にわかってませんが、中身について終わりの方の部分に触らなければネタバレでは無いだろうと思うけども、前回避けた、カバーに書かれていること以外の小説中身について取り上げようという意図で、それでもたぶんネタバレでは無いと思うのバージョンです。

 

アメリカ小説読んでるみたいに思う理由

アメリカの小説みたい、とかアメリカ映画みたいと、中華SF小説を読んで感じてしまった理由も書きます。

 

文章について

これは翻訳者の仕業というファクターが強いのですが、ちょっとこれ読んでみてください。

 

楊冬(ヤン・ドン)の登場

主人公である汪淼(ワン・ミャオ)はナノテク素材の研究者なのですが、なぜこの事件に巻き込まれたのかというと、軍の主催する会議への参加を求められたからです。

軍は、現在の異常な事態については認識していましたが、汪淼(ワン・ミャオ)はよく分かっていません。

ここんとこ続いて物理学者が自殺しており、そのリストを見せられます。

 

おそらく汪淼(ワン・ミャオ)は、それでも「それはおれの仕事じゃ無いよ」と思ったはずです。

しかし、そのリストの最後に知った名前が載ってました。

楊冬(ヤン・ドン)。

 

汪淼(ワン・ミャオ)は一年前、自分が超電導部門のナノスケール・コンポーネントの責任者を務めていた高エネルギー粒子加速器プロジェクトの現場に訪れたほっそりした女性を思い出します。

その女性が、楊冬(ヤン・ドン)。

もう亡くなってしまっているのですが、平たく言うと主人公はその女性への興味、スケべ根性でこの事件に関係していきます。

この初めて楊冬(ヤン・ドン)を見たときの描写を作品から引用しちゃいます。

早川書房から出版された単行本63ページから64ページにかけての文章の中から。

 

工事用のひさしの隙間から、夕暮れの金色の陽射しがひとすじ差し込み、それがスポットライトのように彼女の姿を浮かび上がらせた。穏やかで暖かい光が、やわらかそうなストレートの髪を輝かせ、作業着の襟もとにのぞく白く美しい首筋を照らしている。それはまるで、激しい雷雨のあと、巨大な金属の廃墟の上に、一輪の可憐な花が咲いたかのようだった。

なんか、こういう文章って馴染むなあ。

中国で、アメリカンハードボイルドでも読んでいるみたいな気がします。

こんな感じの文章で本作品は書かれているのです。

 

 

ついでに、楊冬(ヤン・ドン)を見た日の夜、風景写真を撮るのが趣味の主人公が自宅の書斎で自分が撮った写真を眺めます。

荒涼とした谷と雪をいただく山、そして老木という写真です。

 

想像の中で、汪淼は、記憶に焼きついた彼女の姿を谷の奥に配置した。驚いたことに、そのとたん、画面全体が息づいた。まるで、写真の中の世界が、彼女のちっぽけな姿に気づいて、それに反応したかのようだった。風景すべてが、もともと彼女のために存在していたように見えた。

彼は自分が撮った他の写真にも彼女の姿を重ねてみます。

汪淼はこれまでずっと、自分が撮った写真には魂が欠けていると思ってきた。その理由が、今ようやくわかった。欠けていたのは、彼女だったのだ。

この主人公、奥さんもいるし子供もいます。

まあ、これが、このとんでもない事件に彼が巻き込まれた理由なのですってのも、なんか中華イメージとちょっと離れているような。

 

 

登場人物の生活

今の中国人の生活って、ハリウッド映画に出てくるような感じなのでしょうか。

 

丁儀(ディン・イー)のアパート

この人は楊冬(ヤン・ドン)の恋人だった学者です。

すっかり綺麗な女のイメージに浮かされた主人公は、彼女の恋人だった男の住処も訪ねます。女の痕跡を求めて。

 

そのアパートは、新築マンションの3LDK。

ドアを開けた時に強烈な酒のにおいに迎えられます。

付けっ放しのテレビの前で丁儀がソファに寝転んでいます。リビングは広く、片隅にビリヤード台があります。

 

まあ、それだけの情報ですが、なんとなくアメリカ映画のシーンを思い浮かべてしまったのは、ぼくの勝手でしょうか。

 

他の登場人物の生活も

ここだけでは無く、主人公を含め、ほかの登場人物の自宅も、かなり豪華で生活様式は洋風な感じです。

 

 

ついでに楊冬(ヤン・ドン)の母親

葉文潔(イエ・ウェンジェ)が母親です。

前回、紹介しましたが、彼女も物理学者です。

そして、葉文潔の父親も文化大革命で殴り殺された物理学者でした。

 

葉文潔(イエ・ウェンジェ)は、父親が殺されたあと、彼女自身も地位が無くなり、辺境の地で木を切り倒していたのです。

ある日、父親の教え子だった技術者に救われ、巨大なパラボナアンテナを備える軍事技術基地に技術者として働き始めます。

 

そして数十年後、自分の自殺した娘に想いを馳せる変なおっさん(この話の主人公)汪淼(ワン・ミャオ)が、彼女を訪ねてくるのです。

 

 

登場人物の行動理由がわからなくなることがありました

この主人公である汪淼(ワン・ミャオ)の行動理由が、自殺した綺麗な女性物理学者の女性としての存在への興味と執着であるということに納得するまで、ちょっと時間かかりました。

それはマズイやろ、ほとんどストーカーに近いじゃないのという気がするので、納得したくなかったんでしょうね。

この主人公のおっさんは、写真が趣味でライカを所有し、一回見ただけの女が忘れられないから死んだ後に恋人や母親を訪ね、でもってVRゲームに熱中するしょうもないオヤジなんです。そういう俗な執着心、煩悩に振り回されて、大変な事件に首を突っ込む羽目になったんですね。

 

 

で、主人公以外の登場人物の行動理由もわからなくなり、また戻って読み直すということもありました。

 

まあ、そんでも話が面白いから許しましょう。