ビートたけしの書いた小説って、ずいぶん昔に目にしたことがありました。
書き出しを読んで、その後を読んでいません。
この前、日曜日の新聞を読んでいると、本の紹介のページで「フランス座」という小説の紹介が載ってました。
今まで、口述筆記みたいな書き方が多かったけども、今度は自分で書いたみたいなことが書いてあります。
で、いつものように市立図書館のホームページで予約しました。
ちょっと待たされました。
メールが来て、取りに行き、これは最後まで読みました。
ビートたけしが漫才で売れる前に、浅草のストリップ小屋でコントをしていたというのは、有名な話です。
フランス座というのは、そのストリップ劇場の名前で、その頃の自分の体験、ほとんど実話みたいなのを書いてあります。
小説としたのは、芸人のリアルな話になると、ダークになりすぎるし、差し障りもあるので小説ということにしたと新聞の紹介欄には書いてありました。
文章は読みやすく、最初からすんなり入って行きました。
ちょっとたけしのネタっぽい書き方のところもありますが、するって最後まで読み通せます。
大学に行きたくなくなり、授業をサボって新宿でウロウロしていて、やがて浅草に流れて、フランス座のエレベーターボーイのアルバイトを始めたところから始まります。
ある日、深海千三郎というコメディアンが、こんな所でエレベーターボーイしているのは芸人になりたいからだろうと誤解して、それからたけしの芸人人生が始まります。
そしてツービートを結成して、その後売れない時代を語り、そして小説はさっさと終わります。
なんか最後は、ちょっと物足らない気もします。
ラスト前5行目には、漫才ブームまではまだ数年かかる、と。
次の行には、そして短いブームが過ぎた頃、と書かれてます。
この行間で、漫才ブームは過ぎてます。
最後の3行は、師匠がテレビには出なかったこと、精神病院に入った仲間の芸人がどうなったのか、今も知らないと、ひどくあっさり終わっています。
淡々と、売れる前の若い頃を振り返っている作品です。