子供の頃のように

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「ゴールデン街コーリング」馳星周 青春小説でっせ

馳星周といえば、「不夜城」。

新宿歌舞伎町を舞台にしたノワール小説。

小説も読んだし、映画も観ました。

面白かったけど、ちょっとぼくの好みと微妙に方向が違ってました。

 

 

彼の作品、久々に読んだのは

ゴールデン街コーリング

ゴールデン街コーリング

 

これは素直に面白かったです。

 

昔、トリオザパンチってお笑いトリオあったでしょ、「ハードボイドドだど」とか言うやつ。

古いね、話が。

で、そのなかの内藤陳と言う人が、日本冒険小説協会なんてのを作って、新宿のゴールデン街で<深夜プラスワン>って飲み屋をやってました。

冒険小説好きだったんですね。

「読まずに死ねるか」って書評も月刊プレイボーイに書いてましたね。

馳星周は、若い時に、この<深夜プラスワン>でアルバイトしてたらしい。

 

で、この内藤陳をモデルにした斉藤顕という人物が、ゴールデン街でやっている<マーロウ>という店を舞台に、自分がモデルの、そこでアルバイトしてる坂本という若者を主人公にして、一人称で語られる青春小説を書いたという訳です。

 

 

青春小説とはなんだ?

「青春小説」、若い人を扱った小説で、若いからこその行動や悩み、成長、そして異性とのことなとが題材になっているものですね。

 

この作品、主人公は二十歳。

青春小説だなあという点をいくつか

1・成長

主にエンタテインメント系だけど、小説を読むのが大好きな主人公は、ハードボイルドや冒険小説が好きで、雑誌に書評も書いている斉藤顕に憧れて、高校生の時に手紙も書きます。

そして、小説好きが集まり、小説の話をしながら酒を飲む<マーロウ>というバーにも憧れます。

そんな主人公を斉藤顕は、こっちに出てきたら、うちの店でアルバイトしなよと誘います。

そして新宿ゴールデン街で働き出して、もう2年以上、そんなタイミングの物語です。

 

顕さんは酔っ払うと人が変わります。

シラフの時の顕さんが、本当の顕さん、酒を飲むと悪魔が乗り移る。

そう思おうとしても、次第について行けなくなってきます。

何より、顕さんの好きな小説と自分が好きなものとが、違ってきている。

そう、顕さんと主人公を強く結びつけた小説、顕さんが愛を込めて冒険小説を語れば、それで良かった時から、もう顕さんの書評も主人公の心を満たしてはくれなくなってきたのです。

 

尊敬する先輩が、なんとなく自分と遠く感じ出す。

誰でもそういうことがあったと思います。

それは、あなたが変わってきた、あなたが前より成長してきたということです。

 

2・未来への展望、人生の見通し

主人公が日本冒険小説協会の機関紙に書いている書評が、「本の雑誌」ーそう椎名誠のあれですーの編集者の目にとまり、執筆を依頼されます。

現在大学生ですが、物書きとしての主人公の人生がほの見え出します。

 

3・女性

ときおり<マーロウ>に顔を出す新宿のホステス友香に、主人公は心惹かれます。

まあ、どう言い繕っても性欲の一つの変形のような気持ちです。

友香との交流、いざとなって直前で友香は主人公を拒みます。

 

友香にフラれた主人公は、荒れます。

しかし、女子学生の香を友人から紹介されます。

当初は興味が無かった相手ですが、次第に距離が縮まっていくのです。

この辺、作者は、女性の方からの積極的な気持ちと、清楚な香のパーソナリティを上手に描いていきます。

香の仕草、態度、言葉。

 

4・青春小説ですね

このように必要な要素を取り揃えて、北海道から出てきた青年を描き出していきます。

青春小説です。

 

 

サスペンスの要素もありです

新宿ゴールデン街地上げ屋の影がちらつき出します。

立ち退き料に目がくらみ、店を売るオーナーも出てきます。

なかなか立退かない店に、放火も。

 

常連の何人かが、昼間ゴールデン街の見回りを始めました。

でも、日が過ぎていく中で、有志は減っていき、やがてナベさんという人ひとりだけが見回りを続けます。

そして、ある日、ナベさんが死んでいるのが発見されます。

 

警察も犯人を探しますが、なかなかわかりません。

主人公もホームレスの人達の中で、目撃者がいないか探します。

 

ありがちな、話ですね。

そうやって主人公とその仲間たちが犯人を捕まえたり。

 

主人公は犯人を突き止めます。

でも、結末はありがちなサスペンス小説とは、少し違います。

やはり、青春小説なのです。

 

 

ということで

主人公の成長と恋愛、そして殺人の犯人探し、これらの要素がうまく絡まり合って主人公の青春を描き出しています。

 

前振りというか、伏線というか、作者は注意深くそれらを必要な箇所に散りばめ仕掛け、プロットを組み立てています。

「うまいな」って、素直に思います。

ちょっとした話が、次の展開を納得させる材料になっています。

 

後日談みたいなことが最後に書かれていて、主人公は大学を卒業した後、小さな出版社に勤め、そして小説を書くようになります。馳星周本人になっていくのです。

 

 

そうそう、主人公の読書の好みが顕さんと違ってきた話ですが、彼の好きな作家として志水辰夫の名前が挙がってました。

まだ読んだことないので、そのうち読んでみようと思っています。こういうの、嬉しいです。

 

あ、それと、タイトルは、パンクロックの「ロンドン コーリング」意識してますね。

 

 

あらすじ

本の紹介で、あらすじなんか読みたくないでしょう。

でも、あらすじ書く練習で、書いてしまおうとしていましたが、字数がかなり多くなってしまったので、今回はやめました。

どうぞ作品を読んでください。