変な映画です。上見ただけでわかりますね。
余計なことですが、ホアキン・フェニックスがリバー・フェニックスの弟だということは、納得しづらいですね。むしろ加藤諒が、ホアキンの弟だと言ってくれた方が、すんなり納得しやすいです。
トマス・ピンチョン原作ですが、この原作の翻訳版小説のタイトルは「LAヴァイス」で、原題が「インヒアレント・ヴァイス」なので、おそらくヴァイスつながりで「マイアミ・ヴァイス」を見て思いついたのでしょうか、罪深い行いです。
さて、ホアキン・フェニックスは、LAのヒッピー私立探偵です。ドクというニックネームで、おそらく歯医者の中の一室が事務所です。
このドクをどつきまわすのが、強面パワハラ刑事のジョッシュ・ブローリン。これがなかなか良いのです。心の奥に深い傷を隠しています。
そのドクが頼りにする海事弁護士にベニチア・デル・トロ。いつも以上にネッチョリしていて、目付きもかなりイッています。ものすごく良いですよ。
ドクが家で寝ていると、別れた恋人のシャスタが現れる。彼女が愛人になっている富豪の(この俳優、ジュリア・ロバーツの兄です)ミッキー・ウルフマン(この名前、予告編で何人もの人が連続で言うので、すごく耳に残ります)に対して、妻が悪巧みをしているから助けて欲しいと言うのです。
ここからドクの不思議な活躍が始まります。
ドクはいく先々で変な依頼を受け続け、謎は増えていきます。
ヤクのやりすぎで歯がなくなってしまっている女性から、失踪した夫を捜して欲しいと頼まれます。
彼女の夫はコーイという名前で、当初FBIに雇われ、いろんな人物になり、いろんな所に潜入し、いろいろ都合よく利用されています。
ドクもいろんな所で、もう死んだはずのコーイに会います。オーウェン・ウィルソンがコーイを演じています。
シャスタは、ドクへの依頼の後、姿を消しています。いくつもの謎を追いながら、ドクはシャスタと過ごした日々を思い出します。
シャスタとの昔の思い出と、現在、登場人物の過去、いくつもの謎が絡み合い、それらにピンポン球のように弾かれながら、ドクは捜査を続け、さらに謎は増えていきます。
あらすじを言っても、この映画のことは説明できません。
よくあるハードボイルド探偵物のような展開ですが、ちょっと違います。
煙のように不思議な作品です。
この「インヒアレント・ヴァイス」というタイトルの意味がよくわかりません。精神科か何かの専門用語なのかな。字幕では、回避できない欠陥みたいなことが書いてあります。
どうしようもない、誰のせいでもない、運命で決まっていたような困り事、てな感じなのかな?
冒頭、女性の甲高い、鼻にかかった甘ったるいような頼りない声のナレーションで映画が始まります。このシーンだけでこの映画が好きになってしまいました。
「よりを戻したわけじゃない」終わりの方で、ドクもシャスタもそう言います。
でも、きっと、しばらく一緒にいて、またシャスタは出ていくような気がします。
世の中はどんどん変わっているけども、ドクだけはずっと変わらずヒッピーのまま。
シャスタとの昔を思い出しながら、その時のままでいます。
そういうシーンを見ることが、ぼくの気に入ったのかもしれません。
この作品のことを書きたくて、この三つの購入した映画を書き出したのだけど、肝心のこの映画のことはうまく書けませんでした。